概要
神戸市は、1868年の開港以降、港を中心に発展し、経済・文化の玄関口として重要な役割を果たしてきました。神戸市の産業は、当初は造船業や鉄鋼業が主でしたが、後に鉄道車両や大規模発電設備などの製造業が経済をけん引してきました。1995年の阪神・淡路大震災により都市の主要な重工業が被害を受けました。
災害復興の過程で、神戸市は経済の活性化と新たな成長産業の創出を目的として、先端医療技術の研究開発拠点を整備し、医療関連産業の集積を図る「神戸医療産業都市」をスタート。現在は、360を超える研究施設、企業、病院を有する日本最大級のバイオメディカル・クラスターとなっています。
また「水素スマートシティ神戸構想」として、公民連携のもと水素エネルギーの利活用拡大に向けた様々な取り組みを推進する他、日本政府のGIGAスクール構想(義務教育を受ける児童生徒のために、1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する5年間の計画)のもと、神戸市内の学校における先進的なIT環境の整備を進めています。
これらの取り組み実績をもとに、TDLCは2016年に神戸市と都市連携プログラム(CPP)を締結し、神戸市の復興の経験や知見を、TDD研修やイベント等にて、途上国の都市の実務・行政関係者に広く共有しています。全世界の都市における自然災害対策やリスク管理に注目が高まる中、神戸市の知見や事例は今後も多くの国々の都市づくりにおいて重要な視点を提供するものと期待されています。
主要な連携テーマ
- 災害リスク管理
- 競争力のある都市とスマートシティ
- ICT(情報通信技術)教育
神戸市からのコメント
ワークショップやセミナー等を通じて、阪神・淡路大震災の経験に基づく防災・減災の取り組みのほか、都市開発に関するノウハウや知識を提供することで、開発途上国の都市づくりに貢献するとともに、神戸市や市内企業の国際的な認知度を高めることができた。また、スマートシティ会議等に参加し、人工知能やビッグデータといった「破壊的技術」を活用した都市の課題解決の先進事例について知見を得ることができ、TDLCとの連携は非常に有益であった。
神戸市市長室国際部長 植松 賢治
主な連携実績
- 2022年5月
包摂的な都市と雇用に関するTDD研修にて、市職員が1995年の阪神淡路大震災からの「よりよい復興」を遂げ、神戸産業都市として再開発を実現した神戸市の経験と主な教訓を紹介した。 - 2022年2月
都市開発実務者向け対話型研修(TDD): 災害リスク管理と強靭なインフラに市職員が登壇し、1995年の阪神・淡路大震災後の神戸市の復興の過程やマルチハザードに対する強靭性を実現するための主な課題について紹介した。 - 2021年4月
すべての人のための健康都市に関するTDD研修にて、市職員が同市における里山の事例をもとに、都市生活と自然の共生にむけた革新的なソリューションを紹介した。 - 2020年11月
「スマートシティライブ2020」におけるTDLC主催のサイドイベントにて、市の代表者が、アフターコロナの都市づくりに関する市の見解や取り組みについて紹介した。 - 2020年1月
創造都市の形成をテーマとしたTDD研修のセッションで、創造的思考を促進し、創造性を社会的課題に応用する神戸市の取り組みを紹介した。 - 2019年10月
TDLCと横浜市が共催した「第8回アジア・スマートシティ会議」の世界銀行セッションにおいて、市職員がスマートシティの取り組みについて発表した。 - 2019年4月
都市における統合的水害リスク管理(IUFRM)TDD研修の参加者が、神戸市の中突堤ポンプ場、神戸港震災記念公園、海岸堤防などを訪問し、都市洪水リスク管理、耐震性、これらの相互関係について学んだ。 - 2019年3月
神戸市と関西SDGsプラットフォームが共催で防災シンポジウムを開催。TDLCは世界銀行のSDGsに関する取り組みや日本と世界銀行のSDGs支援について発表した。 - 2018年3月
地震リスクと強靭性をテーマとしたTDD研修にて市職員が登壇した。 - 2017年10月
競争力のある都市づくりに関するTDD研修にて市職員が登壇した。
*2022年6月現在
主な出版物