洪水は、最も頻繁に発生し、最も被害が大きい自然災害です。 1980年から2016年にかけての洪水による経済的損失は1.6兆米ドルを超え、犠牲者の数は22万5千人以上にも及んでいます。 こうした被害は急速な都市化と気候変動によって今後さらに悪化し、特に成長率の高い国々で深刻化すると考えられています。 世界銀行では、工学的、環境的、および非工学的対策のバランスのとれた組み合わせにより、不確実性に強く、気候変動に起因する様々な洪水にも適応できる統合的な水害リスク管理を推進しています。
都市における統合的水害リスク管理(IUFRM)にかかる実務者研修会合は、世界中の実践者がお互いの国の取組みや海外および日本の水害対策経験について学ぶことを目的とした2回目の研修です。5日間わたる対話型学習や知見共有を通じて、参加者は下記の4つのトピックを中心にIUFRMへの理解を深めました:(i)都市の水害リスク評価とコミュニケーションプロセス、(ii)洪水リスクの軽減に向けた投資計画と優先順位付け、(iii )投資の実施及び(iv)持続可能性を考慮した資産の運用とメンテナンス
東京では、参加者は墨田区の曳舟(コミュニティベースの雨水貯留)、東京スカイツリー周辺(水害に強い商業及びコミュニティデザインの為の民間セクターの関与)及び両国近隣(公共施設のための都市主導の雨水貯留)の各地域へ足を運び、様々な水処理や水害リスク管理の取組みについて学びました。 神戸市では、中突堤ポンプ場、神戸港震災復興記念公園、沿岸堤防を訪問し、IURFM、耐震性、及びそれらの相互関係について理解を深めました。 また大阪では、松原南調整池および若江立坑(ともに東大阪市)を訪れ、寝屋川地区の総合的な治水について学びました。