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電源開発 九頭竜川水系 長野及び湯上発電 ~ 日本が世界銀行から貸出を受けた31のプロジェクト

土木技術の進歩で実現した揚水発電


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湯上発電所(鷲ダムと後方に九頭竜ダム)

福井県の九頭竜川は水量に恵まれた大河川ですが、季節によっては周辺の住民は氾濫の被害に悩まされてきました。九頭竜川にダムを建設するという構想は以前からありましたが、厳しい自然環境のため実現は難しいとされていました。

電源開発は、御母衣水力発電(1959年2月調印)に続き、1965年1月、長野発電所、湯上発電所の二つの発電所建設のための世銀貸出2500万ドルに調印しました。

ダム工事は同年4月に着工されました。当初はアーチダムなども検討されましたが、工事現場への大量の建設資材輸送が困難なこと、地盤が軟弱なことから、御母衣ダムと同じロックフィルダムが採用されました。九頭竜ダムは高さ128m、頂長355m、有効貯水容量1億9,000万m3と御母衣よりやや小型ですが、御母衣ダム建設から8年の月日の間に進んだ土木技術の進歩が反映されています。長野発電所建設の電気機器や30tトラックなどの購入は、世銀の貸出案件であったことから国際入札が行われました。

九頭竜ダムの左岸直下に長野発電所は地下発電所で、発電所の上と下に池を設け、深夜の余剰電力を利用して、下池の水をポンプで上池に揚げ、昼間この水を利用して発電する揚水式を採用しています。据えつけられた出力11万3,000kWのフランシス形ポンプ水車は当時、揚水機としては東洋最大でした。湯上発電所はダム式と水路式を組み合わせて作られました。両発電所の運転開始はいずれも1968年5月です。  

 

プロジェクトデータ

調印日:1965年1月13日
受益企業:電源開発(株)
対象事業:九頭竜川水系 長野及び湯上発電所建設
貸出額:2500万米ドル

 

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湯上発電所(鷲ダム)

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長野発電所(九頭竜ダム)

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長野発電所(九頭竜ダム)