日本が世界銀行の加盟国となった1952年の翌年、1953年10月、初めての日本に対する世界銀行の貸出案件3件がワシントンDCで調印されました。日本開発銀行を通じた貸出はいずれも電力案件で、戦後復興の基礎として電力の安定供給がいかに重要であったかが伺えます。中部電力(750万ドル)、九州電力(1120万ドル)、関西電力(2150万ドル)に対するこれらの貸出は、いずれも火力発電所の電力供給能力を上げるものでした。
世銀と各電力会社との交渉過程では様々な問題が生じましたが、最終的に交渉は合意に達し、1953年10月15日、ワシントンDCで世界銀行ブラック総裁、日本開発銀行小林総裁の間で貸出の調印が行われ、同年12月29日に発効しました。貸出条件はいずれも利率5%、償還期限20年(うち据置期間3.5年)という条件でした。
中部電力は、四日市火力発電所に6万6000キロワットの高温・高圧の発電設備建設を行いました。多くの困難を伴った日本初の世銀貸出でしたが、この3社の電力案件を皮切りに、その後日本は積極的に世銀貸出を活用し、経済発展の道を進んでいきました。
プロジェクトデータ |
調印日:1953年10月15日 受益企業:中部電力 対象事業:四日市火力一基(66,000kW) 貸出額:750万米ド |