Skip to Main Navigation
プレスリリース2024年10月3日

50カ国でビジネス環境を阻害する公共サービスの不備

「ビジネス環境」報告書が示すロードマップ:企業、労働者、社会の繁栄に向けて

ワシントン、2024年10月3日—世界銀行グループの新報告書 「ビジネス環境(Business Ready)」によると、各国のビジネス環境改善に向けた規制の制定は、実際の改善のための公共サービス提供よりも進んでいる。

第一回目となる同報告書2024年版は、50カ国のビジネス環境について、1カ国につき1,200の指標を網羅した広範なデータセットを提供するもので、改善の余地がある分野を特定し、改革への意欲を引き出すことを目的としている。世界全体のベンチマークを提供するため、今後3年間に調査対象を約180の国と地域にまで拡大する。

今年の評価対象となった50カ国のほぼ全てにおいて、企業による規制順守を容易にするための公共サービスが、規制枠組みに追いついていなかった。そうした公共サービス面の不備により、企業、労働者、社会が全体として健全なビジネス環境の恩恵を十分に享受できていない。

各国の規制枠組みの質は100点満点中、平均で65.5点だった。つまり、この項目において各国のビジネス環境は理想的な状況まで平均では3分の2近くまで達していることになる。ところが、公共していることになる。ところが、公共サービスの項目では49.7点と、理想のほぼ5割にとどまった。両項目のスコアの差はすべての所得レベルとすべての地域でみられるが、高所得国で最も小さく、サブサハラ・アフリカ地域と中東・北アフリカ地域で最も大きい。

「人口動態や債務、対立で経済成長が減速している現在、民間セクターの創意工夫のみが進歩を可能にする」とインダーミット・ギル世界銀行グループ・チーフ・エコノミスト兼上級副総裁(開発経済担当)は述べた。「ただし、起業家がわずかなチャンスを与えられた時に経済上の奇跡を起こせるような投資環境が不可欠である。今、そうした奇跡が切実に求められている。『ビジネス環境』報告書は、企業がその株主や消費者、労働者の繁栄を実現できる環境を構築できるよう、必要な情報を政府に提供する」

「ビジネス環境」報告書は「ビジネス環境の現状」の後継となる報告書で、各国のビジネス・投資環境の評価のために、よりバランスがとれた透明性の高いアプローチを用いている。このアプローチは、各国政府や民間セクター、市民社会組織、学術関係者など、世界銀行グループ内外の専門家からの提言により形成されている。

民間セクターは世界中で経済成長の強い原動力となっているが、繁栄のためには適切な環境が求められる。「ビジネス環境」報告書は、企業が市場参入、イノベーション、事業拡大の過程で直面する規制上の負担(例えば、起業にかかる時間)だけでなく、規制の質も評価の対象としている。例えば、労働規制には職場の安全に関する要件が含まれているか、または、スタートアップ規制では起業家の身元確認が義務付けられているか、などである。「ビジネス環境」報告書はまた、ビジネス規制にとどまらず、実施に必要な公共サービスも評価する。政府は、オンラインで相互接続された機能を整えて、企業が納税しやすくしているか、または、透明性を担保した公共データベースを構築して、優良企業が融資を得やすくなるようにしているか、などである。

報告書はまた、企業が実際に直面する状況も数値化している。今年版で評価した50カ国の場合、こうした状況は国によって大きく異なる。例えば、国内企業の登記の所要期間は3日から80日と幅広く、外国企業の場合は最大106日となっている。企業が経験する停電の回数は平均すると1カ月4回だが、多い場合は22回にも及ぶ。ビジネス上の紛争をめぐる訴訟の解決までの期間は、平均では2年以上だが、実に5年も長引いたり、わずか105日で終わることもある。

このように幅広く精度の高い比較可能なデータがあれば、企業が事業の進め方やどこに展開するかといった重大な決定を下す際に参考にできる。また、各国政府は、企業や労働者、社会の繁栄をもたらす民間セクター開発にあたり、必要な政策をより正確に設定できる。

「裕福な国ほどビジネス環境が整っている傾向があるが、望ましい環境を整えるのに富裕国である必要はない」と、「ビジネス環境」報告書プロジェクトを率いるノーマン・ロアイザ世界銀行指標グループ局長は述べた。「分析の結果、低所得国と中所得国であってもビジネスを推進できる強力な環境を実現できることが判明した。例えば、ルワンダ、ジョージア、コロンビア、ベトナム、ネパールは規制の質、公共サービスの堅実さ、システム全体の効率性など、さまざまな分野で高スコアを出している」

透明性は、「ビジネス環境」報告書のデータ正確性を担保する上で鍵を握るポイントである。同プロジェクトで収集された一切の情報(詳細な生データ、スコア、スコア算出に用いられた計算)は現在、プロジェクトのウェブサイトで公開されている。さらに、報告書に記載のすべての結果は、ウェブサイトで提供している簡単なツールキットを用いて複製が可能である。

プレスリリース番号: 2024/013/DEC

お問い合せ

ワシントン
Shane Romig
映像関連
Kristyn Schrader-King
+1 (202) 560-0153
東京
開裕香子
+81 (3) 3597 6650

ブログ

    loader image

最新情報

    loader image