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プレスリリース2022年3月23日

野生動物保護債(Wildlife Conservation Bond:WCB)を発行し、南アフリカのクロサイ保護と現地コニュニティーを支援

プレトリア 2022年3月23日―世界銀行(正式名称:国際復興開発銀行(IBRD))は本日、南アフリカの絶滅危惧種保護に向けた取り組みを支援する「野生動物保護債(Wildlife Conservation Bond:WCB)」の条件決定を行いました。通称 ” ライノボンド(サイ債券)”と呼ばれる本債券は、期間5年、総額1億5,000万米ドルのサステナブル・ディベロップメント・ボンド(持続可能な開発を支える世銀債)で、南アフリカの2つの保護区(アドゥ・エレファント国立公園 (AENP)、グレートフィッシュリバー自然保護区 (GFRNR).)におけるクロサイの増加率に連動した成果報酬が地球環境ファシリティー(GEF)より拠出される仕組みとなっています。AENPは、南アフリカ国立公園(SANParks)が、GFRNRは東ケープ州公園&観光局(ECPTA)が管轄しています。

WCBは、生物保護活動の目標達成のために投資資金を活用する全く新たな仕組みの成功報酬型の金融商品で、今回はクロサイの個体数の増加率を対象としています。クロサイは、極めて多くの生物種が依存する生態系全体を形成する上で、重要な役割を果たすアンブレラ種(特定地域における生態ピラミッド構造の頂点に位置する種)と見なされています。WCBへの投資を通じ投資家は、明確な保全・保護目標を掲げながら絶滅の危機に瀕している種の保護と増加を目指す活動の資金調達を支援します。また、生物多様性の保全・保護に直接貢献するとともに、南アフリカの地方で十分なサービスが行き届いていない地域において、保全・保護活動に関連した雇用創出を通じて現地の人々に雇用の機会をもたらします。  

「ライノボンドは、地球の自然財産(今回は、開発支援の鍵となる生物多様性の保全)への民間投資を可能にする画期的なアプローチです。世界銀行の知見と資本市場での実績を活かした成果報酬型の金融構造により、絶滅危惧種の保護と南アフリカの自然保護活動が強化されます。そして重要なのは、同じ仕組みを活用して規模を拡大することで、他の生物種の保全活動・気候変動対策・開発等の世界的な課題の解決に、より多くの民間資金が動員可能となることです。」とデイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁は述べました。

発行体である世界銀行は、投資家への利払いを行わず、その代わりに2つの保護区でのクロサイの保護活動の資金を無償提供します。WCBの償還時は、保護活動が成功すれば、コンサベーション・アルファが独自に計算し、ロンドン動物学会が検証したクロサイの増加率に応じた成功報酬をGEFが拠出し、投資家は元本と同成功報酬の両方を世界銀行から受け取ります。これは、「プロジェクトのリスクを資本市場の投資家に取って頂き、保護活動の目標が達成された場合に限ってドナーが成功報酬を支払う」という保全活動のためのファナンスにおける新たなアプローチとも言えます。本債券の基本設計はクレディ・スイス証券が行い、共同主幹事として同社とシティーグループ証券の二社が指名されました。

「地球環境ファシリティー(GEF)が支援する画期的なこの債券は、極めて重要な時期に生物多様性保護の資金調達の新たな道を開いています。これは投資家と自然保護の両方の優先事項を満たすために資本市場を活用できる事を示す素晴らしい事例です。この債券へのGEFの資金支援により、投資家が生物多様性の分野に資金投入するために必要なリスク/リターン構造が実現しました。そして、本取組みがさらに拡大し、その他のアンブレラ種や生態系保全にも有効な新たな保護債券が組成されることを期待しています。」とカルロス・マニュエルロドリゲスGEF CEO兼会長は述べました。

サイの保護は、同じ生態系に属する他の生物種のためにもなります。この生態系は、観光産業や雇用の創出、重要な外貨獲得源となり、南アフリカの国民経済に貢献します。しかしクロサイは、主に密猟と生育地の損失により絶滅の危機に瀕しています。

WCBからの資金供与により、南アフリカは、AENPとGFRNRで既に実証され成功したサイの保護活動をさらに確実なものとする事ができます。これらの保護区は、サイの保護活動の成果を生み出すべくその生態学的能力・管理能力・財政能力を考慮してこの試験的な取組みの対象に選ばれました。本件は、きれいな水や地元の柑橘類産業に必要な花粉媒介生物の生息地等の生態系サービス(生態系からの恵み)強化にも貢献します。

発行体国際復興開発銀行 (“IBRD”)
発行総額1億5,000万米ドル
約定日2022年 3月23日
決済日2022年 3月31日
償還日2027年 3月31日
発行価格:94.84%
保護区管理者: 南アフリカ国立公園(SANParks)東ケープ州公園&観光局(ECPTA)
保護のための資金供与発行体は、支払い代理人を通じ、サイの保護のための資金を保護区管理者に分割で支払います。(総額1億5,200万南アフリカランド) この資金は、サイの増加率の最大化を目指す保護区管理者が保全並びに適応的管理の活動を実施するために活用されます。  
 償還額 100%
保全成功報酬発行体は、償還時に本債券の保有者に保全成功報酬を支払います。その金額は、本債券の償還期間中のAENP と GFRNR のサイの個体数増加率に基づいて決定されます。保全成功報酬の満額は1,376万米ドル。
サイの最終増加率 (X)保全成功報酬
(本債券1,000ドルあたりの成功報酬額)
X ≤ 0%0
0% < X ≤ 2%36.69ドル
2% < X ≤ 4%73.38ドル
X > 4%91.73 ドル
単独設計金融機関クレディ・スイス証券
共同主幹事 クレディ・スイス証券 シティグループ証券
計算代理人Conservation Alpha
第三者評価機関Zoological Society of London
ISINUS45906M3A71
CUSIP45906M3A7
上場Luxembourg Stock Exchange 

世界銀行について
世界銀行(正式名称:国際復興開発銀行、通称IBRD: International Bank for Reconstruction and Development)は、1944年に設立が合意された国際開発金融機関で、現在189の加盟国が出資し運営しています。極度の貧困の撲滅と繁栄の共有促進という目標の達成と持続可能な開発目標(SDGs)を支援するために、IBRDは中所得国及び信用力のある低所得国に対し、融資・保証、リスク管理サービスに加え、開発に関わる様々な分野の専門的な分析・助言サービスを提供しています。また、地域及び世界規模の開発課題への取組みを主導する役割も果たしています。世界銀行は持続可能な開発プロジェクト及びプログラムへの融資資金を調達するために、70年以上にわたり国際資本市場で債券(世銀債)を発行しています。詳しくは世界銀行財務局ウェブサイトをご覧ください。

地球環境ファシリティー(GEF)について
GEFは、日本を含めた184ヵ国のパートナーシップにより構成され、開発途上国や経済移行国が地球規模の環境問題(気候変動、生物多様性、国際水域、土地劣化、オゾン層破壊、水銀)に取り組むための活動を支援しています。GEFのプロジェクトは、世界銀行やアジア開発銀行などの地域開発銀行や国連機関により実施されており、GEFの資金は地球環境保全に貢献する活動に投資されています。

ディスクレーマー
世銀債の発行により調達した資金は、特定のプロジェクトやプログラムへの融資に「直接」割り当てられることはありません。世銀債の元利金の支払いは、世界銀行の信用力に基づき行われるため、投資家は個々の融資プロジェクトやプログラムのリスクを負う事はありません。

本プレスリリースは、世界銀行債券の購入の勧誘もしくは販売を目的とするものではありません。世界銀行債券の販売は、販売を担当する金融機関より交付される販売説明書等に基づき行われます。世界銀行債券の購入の勧誘は、単独または複数の国の法律に準拠して行われており、関係する全ての法律が遵守されない場合は、購入の勧誘もしくは販売を行うことはできません。本プレスリリースで掲載される世界銀行グリーンボンドフレームワーク・世界銀行インパクトレポート・その他の情報は、公式な勧誘資料とは独立したものです。

プレスリリース番号: 2022/059/AFE

お問い合せ

Washington D.C.
Laura Ivers
(202)-644-1977
Washington D.C.
Laura MacInnis
South Africa
Zandile Ratshitanga
(27) 73 888 5962

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