最貧国にはグラントまたは極めて譲許的な融資を提供
ワシントン、2021年4月20日— 世界銀行は本日、17の途上国を対象とする新型コロナウイルス感染症ワクチンの調達・配布のための支援承認額の累計が20億ドルに達したと発表した。資金提供は、途上国によるワクチンの調達・配布およびワクチン接種制度の強化に24カ月間で提供予定の120億ドルの一部である。貧困国には、グラント(無償資金)または極めて譲許的な融資の形で提供される。世界銀行は今年半ばまでに新型コロナウイルス感染症ワクチン用として50カ国に40億ドルを提供する予定である。
今回20億ドルに達した支援金は、アフガニスタン、バングラデシュ、カーボベルデ、コートジボワール、エクアドル、エルサルバドル、エスワティニ、エチオピア、ガンビア、ホンジュラス、レバノン、モンゴル、ネパール、フィリピン、ルワンダ、エルサルバドル、タジキスタン、チュニジアにおける新型コロナウイルス感染症ワクチンの調達・配布に充てられる。
「ワクチンへのアクセスが、感染症の世界的流行の流れを変え、各国が強靭な回復へと移行するための鍵となる。」と、デイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁は述べた。「我々は各種のプログラムを通じ、途上国が公衆衛生上の緊急事態に対応し、ワクチンのための資金を確保できるよう支援している。世界各国が史上最大規模のワクチン接種を進めようとする中、我々は、各国がワクチンの余剰サプライを確保し、できる限り早期に配布できるようにすることと、COVAXへの資金コミットメントを実行することの必要性を強調してきた。
世界銀行のワクチン向け資金パッケージは、柔軟な使い方ができるよう設計されている。各国がワクチンを調達する場合の調達先は、COVAXに限らず、他の機関でも構わない。またこの資金は、ワクチン配布や活動保健システム強化のための他の取組みに使うことも認められている。具体的には、医薬品、個人防護具、ワクチン用低温物流、保健従事者の研修、データ・システムや情報システムに加え、ワクチン接種を確実なものとするために不可欠な主要なステークホルダーに対する働きかけ等の広報活動が対象となる。世界銀行は、新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種適格性基準について、COVAXおよびその他の国際機関の修正済みの適格性基準との整合性を持たせている。
これに加え、世界銀行グループで民間セクターを支援する国際金融公社(IFC)は、途上国における個人防護具のサプライと現地生産を拡大し、医療機器とワクチンを中心に、新興国における医療関係の供給上の制約を解消するため、40億ドルの保健プラットフォームを設けている。
世界銀行は、各国政府及びパートナー機関(ユニセフ、世界エイズ・結核・マラリア対策基金:グローバルファンド、世界保健危機感:WHO、GAVIワクチン・アライアンス)と協力し、140以上の途上国においてワクチン供給に対する準備状況の評価を進めている。暫定的な結果によると、85%の国が国家ワクチン計画を策定しているが、必要とされる数のワクチン接種者への研修計画を整えた国はわずか30%にとどまり、ワクチン接種を躊躇する風潮への対応を図る国民関与戦略を策定している国は27%にすぎない。
「ワクチン接種を実現するには、多数の互いに関連する段階で構成されるシステムが必要であり、そのすべての段階が適切に機能しなければならない。」と、世界銀行のアクセル・ヴァン・トロッツェンバーグ世界銀行専務理事(業務統括)は述べた。「我々は国際社会やパートナーと協力し、新型コロナウイルス感染症ワクチン配布の加速を図っている。ワクチンは、我々が学校や仕事に戻り、再び成長に向けて動き始めるための重要な要素である。」
世界銀行グループは今回の危機の発生以降、各国が感染症流行により保健、経済、社会にもたらされた影響に立ち向かえるよう1,086億ドルの支援を承認した。世界銀行は、世界人口の70%を対象に新型コロナウイルス感染症公衆衛生緊急プロジェクトを実施することで100カ国以上を支援している。
世界銀行グループの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策
世界銀行グループは、途上国に開発のための資金や知識を提供する世界有数の機関であり、途上国が新型コロナウイルス感染症による保健、社会、経済への影響に対応できるよう、広範かつ迅速な措置を講じている。ここには低・中所得国による新型コロナウイルス感染症ワクチンの調達・配布、検査、治療、ワクチン接種制度の強化を支援するための120億ドルが含まれる。世界銀行グループによる広範な新型コロナウイルス感染症対策は、100カ国以上を対象に保健システムの強化、最貧困世帯の支援、特に深刻な影響を受けた人々のために生計と雇用を維持する支援のための環境整備を図っている。