ワシントンDC、2018年7月11日 - 世界銀行(国際復興開発銀行、IBRD、Aaa / AAA)は、2019年度最初のグリーンボンドを発行しました。2008年に初のグリーンボンドを発行して以来、世界銀行はこれまで世界中の投資家向けに総額110億ドル相当ものグリーンボンドを143銘柄発行しています。
本グリーンボンドは、2019世銀会計年度(7月1日開始)の最初の起債の一つです。世界銀行は本年度も、開発支援への資金を動員すべく、画期的な世銀債の発行を目指して参ります。 2018年度は、IBRDは「女性および少女のエンパワメントを支援」、「女性、子供、青少年の健康と栄養の改善を促進」、「持続可能な開発目標(SDGs)への意識を高める。」等を目的としたサステイナブル・ディベロップメントボンドを含め、27の通貨で総額360億米ドルの債券を発行。また、初の香港ドル建てグリーンボンドも発行しました。
持続可能なキャピタル・マーケットの成長を支える
「資金使途に関心の高い投資家が増えています。世界銀行の債券は、投資を通じた社会貢献を願う投資家の皆様を惹きつけています。」と、世界銀行財務局インベスターリレーションズ&ニュープロダクツ部門ヘッドであるハイケ・ライハルトは述べています。 「市場参加者とのパートナーシップは、持続可能な資本市場構築のためのイノベーション戦略には不可欠なものです。」
多くの債券投資家にとって、世銀債はインパクト投資の入り口です。世界銀行は、グリーンボンド市場の開拓、投資判断のためのESG(環境、社会およびガバナンス)基準統合の促進などを含む債券投資の機会を益々増やして行く予定です。また、幅広い開発課題への意識を高める革新的な金融商品の開発にも注力していきます。そして、SDGsを支援するストラクチャー債から、気候、教育、ジェンダー、健康、社会サービス、安全な水と衛生などのテーマを含む様々な社会的インパクトをカバーすることを目指したベンチマーク債の発行まで、幅広いラインアップの世銀債を発行して参ります。
世界銀行はまた、調査を通じてESGデータの汎用性を向上させ、グローバルな透明性と報告活動を支援することで投資家と連携しています。これには、ESG要因を投資戦略に組み込むための機会と課題について、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)との共同研究も含まれます。世界銀行はまた、インパクトの報告の枠組みとしてのSDGsを活用した持続可能な投資商品および市場指標を開発するために投資家と協力しています。その一例として、国際開発金融機関が発行した債券情報を反映したベンチマークで、持続可能な投資指標を拡大することを目的としたUBSウェルスマネジメントと共同での取り組みがあります。
新興国のための資本市場を活用したリスク管理
世界銀行のキャット・ボンド(大災害債券)への投資により、各国は地震、ハリケーン、感染症拡大の発生およびその他の災害への資金的な支援が速やかに行なわれるようになります。 2018年度に世界銀行は、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルーに13億3,000万ドルの地震被害に対応するキャット・ボンドを発行しました。これは国家規模のリスクに対するこれまでの最大の保険取引であり、キャット・ボンドの歴史において2番目に大きな取引でした。チリ、コロンビア、ペルーが初めて資本市場を活用した災害保険にアクセスできるようにしました。
IDAによるインパクト投資の新しいモデル
世界銀行財務局はまた、国際開発協会(IDA)の新たな債券発行プログラムを管理しています。 IDAは、世界で最も貧しい75の国々にとって最大の援助機関の1つであり、これらの国々における基本的な社会サービスのための援助資金を提供するの唯一の国際機関です。 2018年4月、IDAは資本市場で歴史的なデビューを果たし、IDA設立60年近くの歴史のなかで初めて債券を発行しました。トリプルA格の高い信用力を誇るIDA債への投資を通じて、IDA加盟国の人々を救う投資機会に世界中の多数の投資家が賛同し、同IDA債の発行額は15億米ドルに達しました。 IDAの債券発行プログラムは、SDGs達成に向けたIDAの支援を一段と拡大することを可能にします。
2019年度は
世銀財務局は、2019年度も引き続き投資家やその他の市場参加者との様々な戦略的な取り組みを最も効果の高いタイミングで順次実行し、開発支援への資金を動員する上で資本市場の重要な役割を果たす機会を増やしていきます。特に、ESG基準とSDGsを投資の意思決定とインパクト報告の枠組みとして使用するなど社会的および財務的リターンを達成することを目的(目標)とする投資家と提携することを重視していきます。