IDA初の起債、約5倍の超過需要
2018年4月17日、ワシントンDC ― 国際開発協会(IDA:格付けAaa/AAA)は本日、資本市場で初のベンチマーク債を発行し、世界各国の投資家から総額15億ドルの資金を調達した。IDAの新たな資金調達プログラムの最初の債券は米国ドル建て5年債となった。世界各国の投資家から予想を上回る46億ドルに達する買い注文が入った。今回の初めての起債によりIDAは、他の名だたる国際機関債の発行体の仲間入りを果たした。
今回の起債は4月16日ワシントンDC時間早朝に発表され、その直後から世界各国の投資家の旺盛な需要を集めた。最初の数時間で買い注文は20億ドルに、同日市場終了時点では28億ドルに達した。
その後4月17日のアジア時間に入っても買い注文が継続、欧州時間を経て、ニューヨーク市場オープン時には、30か国の110の投資家から総額46億ドルの買い注文が積みあがった。
最終的に金利は米国5年物国債対比+0.196%の2.889%で確定し、発行価格は99.357%となった。
注文は全て世界銀行にとって重要な投資家からのものであったため、市場からの希望に最大限に応えるべく、発行総額は当初目標の10億ドルから15億ドルに増額された。地域別、並びに投資家タイプ別販売比率は以下の通り。
地域別 | 投資家タイプ別 | ||
アジア | 34% | 中央銀行・公的機関 | 43% |
ヨーロッパ | 34% | 年金・保険 | 25% |
北米・中南米 | 23% | 銀行・事業法人 | 24% |
中東・アフリカ | 9% | 投資顧問 | 8% |
IDA債により投資家からIDAが借入れた資金は、支援対象加盟国における持続可能な開発プロジェクトやプログラムに充てられ、持続可能な開発目標(SDGs)の進捗を目指す。
世界銀行グループジム・ヨン・キム総裁: IDAの国際資本市場でのデビューは歴史的な一歩です。IDAは債券発行体としてはまだ新顔ですが、世界でも成長著しい国や地域に対して60年にわたり開発資金と知見を提供してきました。IDAは、数ある国際開発金融機関の中でも最大の自己資本を有します。この比類のない資本基盤、何十年にも及ぶドナー国からの支援、確実な返済実績、そして慎重な財務管理がこれまでは自己資本からの融資だけに活用されてきましたが、新たに資金を借入れることで、より多くの資金が支援対象国に提供されます。本日の債券発行によりIDAは、地球規模の課題に取り組み、数百万もの人々を貧困から救い出す活動に資本市場の力を活用することが可能となりました。
世界銀行ジョアキン・レビ専務理事兼最高財務責任者: 史上初のIDA債は、今後の開発途上国支援のための資金動員に関して極めて重要なものとなりました。自己資本以外の借入資金も融資に活用していくことはIDA設立以降初めてのことであり、加盟国からの出資金に更なる価値を加え、債券投資家の皆様には新たな投資機会を提供しました。最も重要なことは、より良い世界を実現するため、IDAが新たに大きな力を得たことです。
世界銀行アクセル・ヴァン・トロッツェンバーグ開発金融総局副総裁: 今から3年前、これまでのやり方では開発金融は立ち行かなくなると、国際社会の意見が一致しました。そして国際開発金融機関は、バランスシートを積極的に活用し融資のための資金枠を拡大することを確約しました。これにより世界で最も貧困に苦しむ国々への支援を強化し、「持続可能な開発目標 (SDGs)」を2030年までに達成することも確約しました。今回の史上初のIDA債による歴史的な国際資本市場への参入は、IDA出資国、開発途上国のニーズ、そして投資家のニーズの変化に対応したものとも言えるでしょう。
世界銀行アルンマ・オテ財務担当副総裁兼トレジャラー: IDAの初の債券発行に、市場からは大きな反応がありました。世界中の投資家たちは、トリプルA格付を有するIDA債にいち早く投資することにより、地球上の何億人もの人々の生活向上に大きくご貢献頂くことになります。IDAが成功裡に市場参入を果たせたのは、投資家、主幹事団、その他すべての金融関係者の皆様の組織を超えた理解と実行に向けたコミットメントによるものであり、厚く御礼申し上げます。今後IDAの資金調達プログラムを拡大するに当たり、健全な財務状況を維持しつつ、慎重な財務・事業管理を進めて参ります。世界銀行財務局は70年にわたり、資本市場と開発を結びつけるための革新的取組みを進めてきました。この実績を、今後IDAに活用して参ります。
バークレイズ ジェス・ステイリー グループ最高経営責任者: IDAは60年にわたり、国際社会の先頭に立って極度の貧困を撲滅し繁栄を共有するために努力してきました。そして今日IDAは、最も困難な状況にある国々のために革新的な手法を実践するという設立以来の使命の達成に向けて、記念すべき一歩を踏み出しました。本日発行された初のIDA債は今後、支援対象国が、水や教育、保健医療、新たな道路施設などへの国民のアクセスを改善する助けとなるでしょう。IDAが成し遂げようとしている使命の大きさを考えると、今回の債券発行はまさにインパクト投資の胸躍る新時代の始まりを告げるものです。バークレイズはその一助となれることを大変誇りに思います。
BNPパリバ ジャン・ルミエール会長: 投資家からのエシカルなインパクト投資への要請が高まる昨今、IDA債発行は今後、これからの投資家の需要を満たすものとして債券投資の世界を大きく変えていくでしょう。金融セクターは、民間資本を持続可能な開発イニシアティブに結びつけ望ましい成果を上げる上で主要な役割を担っています。IDA債は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた国際社会の努力を後押しし、IDAが担う極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進という重要な使命の達成に貢献するものです。BNPパリバは、国連SDGsを企業目標に組み入れており、今回の歴史的取引に参加できたことを光栄に思います。
JPモルガン・チェース ジェイミー・ダイモン会長兼CEO: 今回、初の債券発行の主幹事として弊社は、経済成長促進、格差是正、人々の生活水準向上のためのプログラムへの資金援助を通じて世界の最貧国における貧困を削減する、という国際開発協会(IDA)の使命を支援できたことを光栄に思います。初のIDA債発行に当たり世界銀行グループと連携できたことは、我が社と世界銀行の長年にわたるパートナーシップの歴史に新たな1ページを加えるものです。
野村ホールディングス(株)代表執行役社長 グループCEO永井 浩二: 国際開発協会(IDA)初の債券発行が順調に進められ、最近では最も注目を集めるディールとなりました。IDAおよび世銀関係者に対しお祝い申し上げたい。起債の成功によって、世界の75の最貧国を支援するIDAの融資能力が大きく増強されることになります。今回の起債は、グローバルな資本市場が社会の持続可能な発展のための課題解決をどのように支援できるかを示す歓迎すべき好例であり、当社がこのような意義深い取り組みに貢献できたのは、大変光栄なことです。
IDAは2016年9月、ムーディーズ社とスタンダード&プアーズ社より初の信用格付けとしてAaa/AAA(見通し:安定的)を取得している。IDAの新たな資金調達プログラムは、IBRDのプログラム同様、世界銀行財務局が管轄する。
IDAは、支援対象国に開発資金と知見を提供する世界有数の機関として60年に及ぶ実績を誇る。世界の貧しい国々の経済成長と貧困削減を促進するプロジェクトやプログラムに専門技術と譲許的資金を提供しており、その活動は、紛争や暴力の防止、強制移動、気候変動、ジェンダーの平等、ガバナンスの促進、制度構築、雇用創出、経済成長のための民間セクター支援など、多岐にわたる。
起債概要*
発行体: | 国際開発協会 |
発行体格付 | Aaa /AAA |
債券形態 | 144A/RegS |
年限 | 5-year |
起債額 | US$1.5 billion |
決済日 | April 24, 2018 |
償還日 | April 24, 2023 |
クーポン | 2.75% (年利) |
利払い日 | Semi-annual on 24 October and 24 April of each year |
発行価格 | 99.357% |
投資家利回り | 2.889% |
上場 | ルクセンブルク証券取引所 |
決済 | DTC, Euroclear, Clearstream, |
主幹事団 | Barclays, BNP Paribas, JP Morgan, Nomura |
上席共同主幹事: | Citi, Deutsche Bank, ICBC, SEB, TD Securities |
幹事団 | BofA Merrill Lynch, BMO Capital Markets, Commerzbank, Crédit Agricole CIB, Daiwa Capital Markets, DZ Bank, Goldman Sachs International, HSBC, ING, Morgan Stanley, Natixis, NatWest Markets, RBC Capital Markets, Scotiabank, Société Générale CIB, Standard Chartered Bank, Wells Fargo |
* 本プレスリリースは債券の勧誘を意図するものではありません。本プレスリリースに記載されている本債券の販売は各国市場の法律に準拠の上行われています。本債券が法に準拠しない市場においては販売されておりません。
IDAとは
国際開発協会(IDA)は、ムーディーズ社とスタンダード&プアーズ社によるAaa/AAAの格付を得ている。IDAは、世界で特に貧しい国を支援する世界有数の資金援助機関である。1960年に設立され173加盟国を擁するIDAは、これまで113カ国における開発を支援してきた。年間のコミットメント額は過去3年間で平均180億ドルに上る。IDA債により調達された資金は、IDA対象国における持続可能な開発プロジェクトやプログラムに充てられる。IDAの支援は、社会的インパクトをもたらし、公平かつ持続可能な経済成長を促進するため、厳格な審査及び内部承認プロセスの下で進められる。IDA債に関する詳細はこちら。