貧困をなくし繁栄の共有を実現するには、災害と気候変動に強い社会の構築を
アフリカ開発アジェンダに十分に盛り込むこと
2013年6月2日、横浜 –災害と気候変動に強い社会の構築は、アフリカの開発の成果を守るだけでなく、同大陸で弱者に配慮した成長をさらに加速させるために必要である-日本に集まった国際社会の指導者たちは本日この点で意見の一致を見ました。
安倍総理大臣は、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)のイベントにおいて、アフリカ各国政府首脳と国際機関の代表の前で、災害は開発に対する深刻な脅威であると明示しました。
「日本が2011年に受けた苦しみの通り、災害は人間の安全保障と開発に対するおそらく最も差し迫った脅威といえるでしょう。気候変動により状況は更に悪化することになります」と安倍総理は述べています。「災害に強い社会を作ろうと努力するアフリカ諸国やそのコミュニティに対し、日本として可能な限りの貢献を行ってまいります」
この問題は、アフリカにとってことのほか喫緊の課題となっています。「アフリカは将来の世界の成長エンジンです」と世界銀行グループのキム総裁は述べています。「ただし、人口増加、急速な都市化、環境面の圧力を抱えるアフリカは、災害や気候変動に対して極めて脆弱になっています。強靭な社会を築き将来に備える形でアフリカの開発を進められるかどうかが、極度の貧困を無くし繁栄の共有を実現するための決め手になるでしょう」
アフリカ連合議長国エチオピアのハイレマリアム首相は、アフリカは過去10年間安定的な経済成長を遂げ、近年は5%を優に上回る成長を記録しています」と述べています。
「今こそ行動を起こす時です」と同首相は述べています。「成長を台無しにするリスクにさらされた国やコミュニティを放置している訳にはいきません。国際社会と力を合わせ、国や地方レベルで災害や気候リスクに対する管理能力を高める必要があります」
災害や極端な気候現象は、長年にわたる開発の成果を後退させかねません。過去30年間の災害による損失は、途上国だけで1.2兆ドルに上り、間接的な影響は計り知れません。
「日頃忘れがちですが、災害は、長期にわたって開発の妨げとなりかねません」と潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は述べています。「国連ミレニアム開発目標(MDGs)達成への取り組みを加速し、2015年以降の優先課題について議論するに当たり、災害がもたらす課題について、開発という観点から捉える必要があります」
2015年以降の開発枠組みを視野に、災害と気候変動リスクへの対応を開発政策やプログラムに組み込むための国際的な合意を築きあげる努力が払われてきています。世界銀行と国連開発計画の共催で行われた今回の特別イベント「アフリカの開発:気候変動と災害に強い社会の構築」は、こうした取組みの一環です。
「アフリカで災害と気候変動に強い社会を築くための協調努力は、特に2015年以降の新しい開発アジェンダの範囲を検討する中で、極めて重要です」と、国連開発計画のクラーク総裁は述べています。
岸田外務大臣も「日本は、人間の安全保障の理念に基づき、国際開発の取組みの一環として気候変動と災害リスクに対応することの重要性を強く主唱していきます」としています。「2015年3月、日本で第3回国連防災世界会議を開催し、兵庫行動枠組みの次の枠組みを策定する予定です」
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