(共同リリース：株式会社 伊予銀行、世界銀行、JPモルガン証券）
初の本邦機関投資家向けグリーン世銀債を伊予銀行が購入
2010年9月1日 東京ー愛媛県松山市 最大手地方銀行の一つである株式会社 伊予銀行（本社: 愛媛県 松山市、頭取: 森田浩治、以下「伊予銀行」）は、世界銀行（国際復興開発銀行、本社: ワシントン D.C.）が新規発行する「グリーン世銀債」を購入し、本日払い込みが完了致しました。これは日本の機関 投資家向けに世界銀行が新たに発行するものとしては、初のグリーン世銀債です。本債券によって世 界銀行が調達する全ての資金は、地球温暖化防止に寄与するプロジェクトへの貸出に活用されます。 全ての世銀債は主要格付け機関から最高の格付を付与されており、グリーン世銀債により、伊予銀行 は安全な投資と同時に世界銀行の地球温暖化問題への取り組みの支援を実現します。
グリーン世銀債は、地球温暖化問題対策に必要な資金を民間資本市場から調達する画期的なアプロ ーチの一つです。2008 年以降、欧米諸国の機関投資家を中心に発行され、累積発行額は 15 億米ド ル以上に達しています。公的資金だけではまかないきれない地球温暖化対策のための資金を資本市 場から調達する官民が一体となって実現した新たな金融手法です。グリーン世銀債は日本においても 2010 年１月以降、個人投資家向けに発行されています。
今回発行されるグリーン世銀債（以下「本債券」）は米ドル建ての固定利付債で発行金額は 5 千万米ド ル（約 43 億円）、満期は 2015 年 9 月 1 日（約 5 年）です。本債券は世界銀行のグローバル・デット・イ シュアンス・ファシリティ（Global Debt Issuance Facility）に基づき、ユーロ市場にて発行されます。世界 銀行より、引受ディーラーに J.P.モルガンが指名され、本債券発行のアレンジを担当しました。これは日 本の機関投資家向けとしては新たに発行されるものとしては初のグリーン世銀債となりました。
条件
発行体: 世界銀行（国際復興開発銀行）
発行総額: 5 千万米ドル
決済日: 2010 年 9 月 1 日
満期日: 2015 年 9 月 1 日
券面額： 1 百万米ドル
償還額: 5 千万米ドル
主幹事: J.P. Morgan Securities Ltd
伊予銀行 資金証券部長の 原川浩一 氏は次のように述べています。 「当行の果たすべき CSR（企業の社会的責任）は、企業理念に掲げております「潤いと活力ある地域の 明日を創る」という『存在意義』を、あらゆる機会を捉えて、すべての業務において具現化していくことと 考えております。 個人以外では国内で初めてグリーン世銀債に投資することは、地域や日本国内さらには世界に向けた 環境問題への取り組みの、ささやかながらも力強い発信であり、一企業市民として自然に感謝する気持 ちが伝わればうれしいと思います。」
世界銀行 財務局駐日代表 有馬良行 氏は次のように述べています。 「地球温暖化問題に関して必要とされる貸出や投資は、これまで以上に民間資本市場からの資金を活 用しなければならない段階に来ています。世界銀行の使命は、世界中の人々の生活水準向上と持続 的発展であり、その中で環境問題は極めて重要な課題です。 かつて世界銀行は日本に対して長期の復興資金貸出を行い、その戦後復興を支援しました。60 年の 月日を経た今、その日本の有力地方銀行のひとつである伊予銀行からグリーン世銀債を通じて資金を 借入れ、地球温暖化問題への取り組みをご支援頂けることに深く感謝し、この好循環が今後も持続する ことを期待しています。」
商品組成を担当した JP モルガン証券株式会社 市場商品開発部長 の 照井勇一朗 氏は次のように述 べています。 「セカンダリー市場中心の従来型の SRI（社会的責任投資）から、一歩進んでより直接的な影響を社会 に与える投資を『インパクト・インベストメント』と呼びます。これは寄付による社会貢献とは異なり、あくま で投資としてのリターンを提供しつつ、金融・社会貢献・成長を人間性によって一つに結びつける経済 インフラとして位置づけられています。 伊予銀行はグリーン世銀債の持つインパクトや社会的リターンに着目して自己勘定での購入を決定し たということあり、このように成熟した投資意思決定をサポートできたことを喜ばしく思います。 J.P.モルガンはインパクト・インベストメントを促進するための国際組織『グローバル・インパクト・インベス ティング・ネットワーク(GIIN)』への出資などを通じて、資本市場の力を社会問題解決に活用する専門技 術を提供しています」
世界銀行について
世界銀行（正式名称：国際復興開発銀行、英語表記： International Bank for Reconstruction and Development(IBRD)）は 1944 年に設立された国際機関で、米国ワシントン DC に本拠地を置き、主要格付機関か ら AAA/Aaa（ムーディーズ／スタンダード・アンド・プアーズ）の格付を付与されています。その運営は 187 カ国の 出資国（加盟国）による協同組合の形態となっており、日本は世界銀行にとって米国に次いで 2 番目に大きな出資 国であります。 世界銀行は、世界各国の開発途上国に対してローンならびに保証取引に加え、助言サービスなどの非貸出業務も 行います。 これにより、地球の環境の保全と開発途上国の経済成長を両立させた「持続可能な開発」を推進してい ます。その最終的な目標は、世界中の人々の生活水準の向上ならびにその持続です。貸出を中心とした上記業務 の原資を世界中の投資家から借入れるべく、世界銀行は 60 年余に亘り国際資本市場で債券（通称：世銀債）を継 続的に発行して参りました。その長い歴史の中で、1989 年に史上初のグローバル債を発行する等、様々な先進的 な金融取引を実現し、最も著名で有力な発行体の一つとしても投資家から評価されています。 詳しくは世界銀行財務局のウェブサイトをご覧ください。
