気候変動の時代において、水安全保障は長期的な強靭性をもたらす中心的要素であり、そのような安全保障の対策としてダムは不可欠です。10億人を超える人口を抱えるインドにはおよそ5千基の巨大ダムがあり、さらに350基が現在建設中です。同国はさらに数千基の小型ダムも有しています。それぞれのダムは、農業、電力、治水、観光を含む多くの経済セクターで使用するための国家の水管理メカニズムの役割を果たしています。
水とダムに関する安全保障の重要性が明らかになる中、インド政府の中央水委員会(CWC)は世界銀行の支援を受け、選定されたダムを修復する予算3億5千万米ドル、期間6年間のプログラムであるダム復旧・改修プロジェクト(DRIP)を開始しました。「日本-世界銀行防災共同プログラム」および、それを推進する世界銀行東京防災ハブも、本プロセスにおいて中心的役割を果たしています。
DRIPが開始されて以降、地震リスクに対する構造物の強靭性に焦点が当てられました。エンジニアと政策立案者は、この領域での検査、報告、更新作業が緊急に必要であると指摘しました。インドのダムの多くは管理・運用上の脆弱性に直面しており、災害に対する強靭性の維持管理(O&M)手順を確立する必要があります。このような状況は構造物の安全性に影響を及ぼし、ダムの下流に住む人々の命や資産を危険に晒します。さらに、この地域では大規模地震が毎年記録されています。
当該地域における近年の大規模地震リスト
日付 | 場所 | マグニチュード |
2016年1月 | インド、マニプール州インパール | 6.7 Mw |
2015年10月 | アフガニスタンとパキスタンの国境 | 7.5 Mw |
2015年4月と5月 | ネパール | 7.6 Mwと7.3 Mw |