国際金融公社(IFC)は2023年9月18日、新報告書「小規模農家との連携:持続可能なサプライチェーンを構築する企業のためのハンドブック」 (Working with Smallholders: A Handbook for Firms Building Sustainable Supply Chains) を発表しました。
所得の上昇や都市化といったグローバルトレンドは、肉類、乳製品、バイオ燃料の消費増加を引き起こしています。製品の需要を満たすには、特に南アジアやサブサハラ・アフリカのような小規模農家が主流であり、かつ小規模農家の収量が低い地域を中心に、世界各地での生産量を大幅に増やす必要があります。同時に、健康への悪影響を軽減するための食品の品質の向上の促進や、食品ロスを削減する方法に取り組むためのさらなる取り組みも不可欠です。加えて、気候変動がストレス要因をもたらしています。これらの課題は、インプット、技術、知識、資金、市場へのアクセスを促進することで、小規模農家の生産性向上を支援する機会ももたらします。アグリビジネスでは、農村における収入と経済成長の促進に役立つ農産物を確保するために、低・中所得国の小規模農家と協力することが増えています。小規模農家は、農産物、情報、金融サービス分野の成長市場でもあります。
同報告書では、アグリビジネスがより持続可能で回復力があり、生産性の高いサプライチェーンを開発する方法と、それが開発に与える大きな影響を示しています。同報告書では、革新的なソリューションと最先端のアイデアを、世界各地での事例とともに紹介しています。同名の報告書の第 3 版であり、デジタル テクノロジーの可能性や持続可能な農業に対する需要の増加など、2018 年に発行された第 2 版で提供されたものからの主要なトレンドとテクノロジーの最新情報を提供しています。
今回のオンラインセミナーでは、同報告書をとりまとめたアラン・ジョンソン国際金融公社(IFC)アグリビジネスアドバイザリーサービス上級業務担当官と、ケイト・ボトリエル サステナビリティスタンダード・システムシニアアドバイザーが、同報告書の主なポイントを日本の皆様に向けてオンラインでご紹介しました。
日時
2023年12月5日(火)午後5時~午後6時(日本時間)
スピーカー
国際金融公社(IFC)アグリビジネスアドバイザリーサービス 上級業務担当官
ハノイ事務所駐在。アジアやアフリカの一次産品(ココア、コーヒー、大麦、コメ、トウモロコシ)のバリューチェーン関連プログラムやアグロインプットの改善・分配などを通じ、小規模農家・生産者やラストワンマイルの小売業者をIFCのアグリビジネスのクライアントの商業的サプライチェーンにつなげることを目指す「より強固な小規模農家サプライチェーン(Stronger Smallholder Supply Chains)」プログラムのグローバルリードでもある。小規模農家の専門性向上を支援するオランダの財団「アグリビジネス市場エコシステムアライアンス(Agribusiness Market Ecosystem Alliance :AMEA)」の理事長、サステナブル・ライス・プラットフォーム(Sustainable Rice Platform :SRP)の理事でもある。オーストラリアのニューイングランド大学で農業経済学修士号を取得(同大学Commonwealth Scholar)。
サステナビリティスタンダード・システム シニアアドバイザー
農業・林業サプライチェーンのための責任あるソーシングとファイシングのデザインと実施に関して19年の経験を有する。民間企業(主に動きの速い消費財を扱う企業)、政府、国際金融公社(IFC)、世界銀行、UNDPを含む国際機関に従事してきた。パームオイル、ココア、コーヒー、綿といった主に小規模農家に生産される一次産品に関する活動を専門とする。大豆、パームオイル、サトウキビのサステナビリティスタンダードの技術的開発(現地調査や生産者評価を含む)にも従事。オックスフォード大学で環境政策学修士号、ブリティッシュコロンビア大学で自然資源保護・林業学学士号を取得。
発表資料
Working with Smallholders: A Handbook for Firms Building Sustainable Supply Chains, Third Edition(英語、PDF)
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