イベント
17th Disaster Risk Management Seminar "JICA-World Bank Collaboration on Disaster Risk Management: A Focus on South Asia" Photo Credit: Lakshman Nadaraja/World Bank
第18回防災セミナー「防災と貧困削減:自然災害に立ち向かう貧困層のレジリエンス構築」
2017年3月9日東京


防災セミナー・シリーズ:世界銀行東京事務所、世界銀行東京防災ハブ共催

世界銀行は昨年11月に報告書『防災と貧困削減』を発表し、災害が貧困に与える影響がこれまで理解されていたよりもはるかに深刻であり、年間消費にして5,200億ドルの損失に相当し、毎年約2,600万人が貧困に陥っているとしています。例えば、2013年、フィリピンでは台風ハイエンの影響で100万人が貧困に陥り、国家経済に129億ドル相当の打撃を与え、100万戸を超える家屋が倒壊しましたが、自然災害による損失は、対応能力が低い貧困層に最も大きな影響を与えています。

『防災と貧困削減』は、自然災害による被害の評価に新たな手法を導入し、各国がより理解を深め、洪水対策の堤防といったリスク削減に適切な投資を選択できるようにするためのロードマップ、さらに早期警報システム、社会保護制度といった強靭性を高める事前準備策を提案しています。

本セミナーでは、日本が持続可能な成長を遂げるために行ってきた防災管理の歴史を紹介し、『防災と貧困削減』でまとめられた調査結果を報告した上で、途上国がいかに災害リスクに対応し、強靭性を高めて貧困削減に取り組んでいるかについて議論します。

プログラム

開会挨拶

塚越保祐 世界銀行グループ 駐日特別代表

講演

ステファン・ハレガッテ 世界銀行 防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)上級エコノミスト

コメンテーター

西川智 日本地域開発センター 総括研究理事
庄司匡宏 成城大学経済学部准教授

モデレーター

ジェームズ・ニューマン 世界銀行 防災グローバル・ファシリティ 東京防災ハブ 防災専門官

※このセミナーは公開用に録画されます。

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特集:異常気象と極度の貧困の連鎖を断つ


COP22で発表された報告書「防災と貧困削減:自然災害に立ち向かう貧困層のレジリエンス構築」では、世界の最も脆弱な人たちの保護を強化する気候問題対応政策が緊急に求められている点を強調しています。 2017年3月9日に東京で開催された第18回防災セミナーでは、貧困層に対する災害の影響を理解するための新たな枠組みを設定したこの報告書の主な所見が発表されました。この報告書は、災害が貧困に与える影響が、これまで理解されていたよりもはるかに壊滅的であり、年間消費にして5,200億ドルの損失に相当し、毎年約2,600万人が貧困に陥る状況を作り出していることを強調しています。

防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)のリード・エコノミストであり、「防災と貧困削減」報告書の主著者でもあるステファン・ホルガットは、報告書に記された3つの主なメッセージを紹介しました。

  • 災害リスク管理(DRM)は貧困削減と同義と言える。
  • 自然災害がウェルビーイングに与える影響は従来推定されていたよりも大きい。
  • DRMに不可欠なのは、自然による危険が災害に変わることを防ぎ、人々が直面する災害と取り組み、それから回復する能力を強化することである。

報告書では、資産だけでなくウェルビーイングという観点から損失のモデリングを行い、貧困層と非貧困層の差を考慮に入れています。 

「報告書では、社会経済分析の代わりにウェルビーイング分析を使おうとはしていません。むしろ[この分析は]それを補う役割を果たします」ステファン・ホルガット 

日本地域開発センター(JCADR)の西川智総括研究理事は、7~8世紀にまでさかのぼり、災害の削減と管理における日本の歴史的成長と経験について論じました。日本では、DRMが持続的開発および貧困削減と結びついており、それは生命だけでなく人々の暮らしをも救うと考えられています。早期警報システムに関する日本の経験は、効率とタイムリーな対応をどのように整備できるかを示しています。西川博士は、対策のための前向きな教訓を得るために、災害による教訓については失敗と共に成功にも重点を置くべきであることを強調しました。

「日本ではもう台風を怖がる人はいません。それは胸を張れることですが、同時に心配でもあります。危険を克服するためにどれほどの努力と準備が必要だったかを私たちは知りません。今後も早期警報に対応し続ける必要があります」西川智

成城大学の庄司匡宏准教授は報告書の講評として、ウェルビーイング損失の推定への移行は災害に対するレジリエンスと貧困の理解を補うために役立つ有効な方法と支持しました。報告書は効果的な政策の組み合わせに関する包括的な論拠を提示しています。庄司准教授は、今後の分析では、コミュニティ構築の重要性に重点を置くべきであると提案しました。信頼感のレベルが低い社会も多く、その点が災害事象での避難を妨げる場合があります。従来、日本では社会資本と信頼感が災害に対する準備と災害からの回復を助けるという考え方が採用されており、その教訓は途上国にも役立つはずです。

 


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イベント詳細
  • 日時: 2017年3月9日(木)午後4時30分~午後6時
  • 場所: 世界銀行東京事務所 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階 (アクセス方法は、下記「関連項目」をご覧ください)
  • 言語: 英語・日本語(同時通訳付)
  • お問合せ: 世界銀行東京防災ハブ TEL: 03-3597-1320
  • drmhubtokyo@worldbank.org

Japan-World Bank Program for Mainstreaming Disaster Risk Management in Developing Countries





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