台風、豪雨、豪雪、洪水、干ばつ、熱波、寒波などの水文・気象関連災害は、自然災害による損失の大きな割合を占めています。1980年から2011年の統計によると、災害数全体の約80%、災害による死者数の50%以上が、水文・気象に関連した災害によることが示されています。
こうした災害への最も効果的な対応策の一つとして、気象・気候・水文サービスや早期警報システムの充実があげられます。しかし、多くの途上国では、効果的なサービスを提供するために必要な技術や実施能力が不足しています。
世界銀行東京防災ハブと東京開発ラーニングセンター (TDLC) は、財務省、国土交通省、気象庁、総務省のご支援のもと、水災害・リスクマネジメント国際センター (ICHARM)、防災グローバル・ファシリティ (GFDRR)、世界銀行水文気象コミュニティ・オブ・プラクティスを含む主要パートナーの協力を得て、2016年9月12日から15日に、分野別実務者研修会合「水文気象サービスと早期警報システム」を開催します。
分野別実務者研修会合とは、専門家や実務者が、持続可能な開発に向けた具体的かつ専門的なテーマについて、優れた手法や経験を共有するナレッジ・シリーズです。本研修会合は、途上国が掲げる具体的な目標に焦点をあてた需要主導型の取り組みです。
9月の研修会合は、日本の水文・気象専門家およびアフガニスタン、ブータン、エチオピア、ホンジュラス、ラオス、ニカラグア、スリランカ、ウルグアイ、ベトナム、ザンビアの実務者が参加する予定です。本研修会合は、体系的な学習を促すとともに、世界銀行が展開しているディスカッション・コミュニティである「コミュニティ・オブ・プラクティス」 と連携のうえ、技術専門家との交流や成功事例につなげるための継続的な支援を提供します。
本研修会合は、国立水文・気象サービスの近代化に向けて重要となる途上国の能力開発を目指しており、同サービスの開発に関する経験や課題についての議論のほか、組織強化、システムの近代化、より良いサービス提供を含めた日本の近代化の経験を途上国で将来的に活用することを見据えた構成となっています。また、人命や資産を効果的に保護するためのタイムリーかつ正確な早期警報を整備するにあたり、教訓を踏まえた経験を共有する場でもあります。本研修会合は、ワークショップ、現地視察、参加者間 (ピアツーピア) の知見共有、総合学習のための行動計画、世界各国から参加者との直接の意見交換等で構成されています。
日本の知見や経験の普及を支援するため、本研修会合は、東京防災ハブが作成した新報告書「日本の水文気象サービスの近代化:防災のための教訓」を基に構成されています。