近年、世界的企業は先進国の市場に迅速かつ安価に商品を届けるために、その原料調達先、加工・製造工程を世界中に求めています。このことは不可避的に、サプライチェーンがいわゆる途上国・新興国にも延伸していくことを意味します。しかし、途上国・新興国の農業生産現場や加工・製造工場の、(1)環境配慮、(2)労働環境・賃金水準、(3)労働者の人権擁護情況は、先進国のそれと比してはるかに劣悪な場合が少なくありません。これまで、日本など先進国の消費者はこうした生産現場の情況に比較的無関心でしたが、近年ではいわゆる「倫理的消費者」の拡大により、こうした「汚れた」サプライチェーンを持つ多国籍企業が糾弾される事例も増えています。
今後、日本企業が海外展開をする際に自らのサプライチェーンの末端までをきちんと把握しておかないことのコストは膨大なものになることが予想されます(すでに、「下請け企業のせいである」という言い訳は許されません)。今回の国際シンポジウムでは、増岡局長の他、「倫理的貿易」の一環として特に農産物の適正な取引のための国際的な「ラウンドテーブル」を主催しているソリダリダードのニコ・ローツェン代表をはじめ内外の専門家を招き、日本企業や研究者、NGOなどの関係者を対象に「倫理的貿易」の動向を紹介し、今後の日本企業と市民社会の取るべき方策について議論を行いました。
セミナーの詳細はこちらからご覧ください。
http://www.ide.go.jp/Japanese/Event/Sympo/160210.html
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