冒頭、塚越保祐 世界銀行駐日特別代表から、TICADの共催者である世界銀行グループが、2015年度、サブサハラ・アフリカに対して国際開発協会(IDA)を中心に総額150億ドルの支援を承認したことを紹介しました。これは世銀グループの世界中への総支援額の4分の1強となります。また、最新のデータを基にアフリカ経済を分析する半期に一度の報告書「アフリカの鼓動」で公表されたアフリカの経済予測を紹介しました。
続くベルミロ・ジョゼ・マラテ駐日モザンビーク共和国特命全権大使の基調講演では、過去5回のTICADを振り返りながら、TICADのアフリカでの開催は、これまでのTICADアジェンダが、アフリカ各国の努力の結果として成功裏に実行されてきたことの証であり、アフリカ企業、市民社会、学術機関の参加推進や、日本とのさらなるパートナーシップの強化、アフリカの現状理解促進につながると強調しました。さらに、次回のTICADでは、TICAD Vの評価を実施し、アフリカが直面する新しい課題への対応が議論されるべきであると述べました。また、モザンビークと日本のパートナーシップに関する代表的な例として、ナカラ回廊開発の実施状況を説明しました。現在、ナカラ回廊プロジェクトでは、小規模農家の生産性向上、食糧安全保障確保、栄養状態改善を目的とした農業支援、ナカラ港の修復と拡張、輸出促進のための鉄道建設、ナカラ港からリチンガ、マラウィ間の道路建設が実施されています。
コメントとして、白戸圭一 三井物産戦略研究所中東アフリカ室主席研究員からは、過去10年間でのアフリカの出来事の総括として、停滞からの脱却、爆発的な経済成長、平和の定着、民主主義の拡大であると指摘しました。他方で主に中国の経済成長鈍化により今後の高成長が困難となる中、天然資源の産業化をどうしたら良いのか、日本とのパートナーシップを具体的にどのように構築したら良いのかが議論されるべきであり、天然資源の付加価値を高める事例として、三井物産の重視するバリューチェーン構築について紹介しました。
また、マーク・ランデル世界銀行モザンビーク共和国、マダカスカル共和国、モーリシャス共和国、コモロ連合、セーシェル共和国国別担当局長からは、モザンビークの概況として、7.4%のGDP成長率、高い潜在力を持つ若年層、高い輸出の見込める農業、世界クラスの天然資源、交通とエネルギーのハブとなる見込みがある反面、経済の持続性、貧困層の公共サービスへのアクセス等の課題があると指摘され、世界銀行の支援として、人的資源への投資、マクロ経済管理、ビジネス環境改善が挙げられました。
最後に、高橋郁 市民ネットワーク for TICAD 世話人が、閉会挨拶として、アフリカの市民社会と連携しながらウガンダで政策提言文書を作成し、TICAD共催者に提言したことや、ケニアの市民社会との意見交換を紹介しながら、次回TICADへの期待を述べました。
当日、会場では80名を超えるご参加者との活発な意見交換が行われました。
プログラム
開会挨拶
塚越保祐 世界銀行駐日特別代表
基調講演
ベルミロ・ジョゼ・マラテ 駐日モザンビーク共和国特命全権大使
コメント
白戸圭一 三井物産戦略研究所中東アフリカ室主席研究員
マーク・ランデル世界銀行モザンビーク共和国、マダカスカル共和国、モーリシャス共和国、コモロ連合、セーシェル共和国国別担当局長(テレビ会議で参加)
当日の資料:Mozambique: World Bank Program Summary (PDF)
閉会挨拶
高橋郁・市民ネットワーク for TICAD 世話人
関連リンク
世界銀行アフリカ地域 https://www.worldbank.org/ja/country/japan/brief/africa
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