近年、急速かつ大規模に進む途上国の都市化と、経済発展に伴う車両数の増加により、交通渋滞や大気汚染などが懸念されていますが、有効な土地利用と交通整備に配慮した開発を実施することで、持続可能な都市開発が可能となります。
公共交通指向型開発(Transit-Oriented Development: TOD)は、持続可能な都市の成長と開発を促進するための主要な解決策のひとつであり、TODを都市計画に取り入れることで経済開発、環境持続性、包括的な社会成長につながります。近年の都市面積増加ならびに都市交通システムへの投資拡大は、土地開発利益還元(Land Value Capture: LVC)への可能性を含め、TODを促進する機会となると考えられます。
世界銀行グループは、これまでにコロンビア、中国、インドネシア、インド、ブラジル、ベトナムなどでTOD関連事業やアドバイザリー・サービスを支援しており、これらの経験を踏まえ、開発に有効なTODに関する知見と事例をまとめた報告書 “Transforming Cities with Transit”(2013年)、TODとLVCに関する事例と方法論をまとめた “Financing Transit-Oriented Development with Land Values”(2015年)を発表しています。これらの報告書は、持続可能な都市のためのTODを成功させるためには、様々な分野の専門家(都市・交通プランナー、交通技術者、住宅、財務、地域開発の専門家等々)が組織の壁を越えて共同で事業を進めていくことが不可欠であると指摘しています。
このたび、TODに関する連続セミナーの第1回として、テレビ会議でハノイ、ジャカルタ、ニューデリー、ワシントンDCを接続し、TODに関してこれまでに積み重ねられた経験をご紹介するセミナーを開催いたします。多くの方のご参加をお待ちしております。
プログラム:
開会挨拶
塚越 保祐 世界銀行グループ 駐日特別代表
森 毅彦 国土交通省 大臣官房参事官(グローバル戦略)
ビデオメッセージ
エデ・イジャズ・バスケス 世界銀行グループ 社会・地域・都市・強靭性グローバルプラクティス シニアディレクター
スピーカー
村上 威夫 国土交通省 総合政策局国際政策課 総括国際交渉官
鈴木 博明 東京大学 非常勤講師 (元世界銀行主席都市専門官)
東アジア・大洋州地域、南アジア地域からの事例紹介
モデレーター
フィリップ・カープ 世界銀行主席知識管理担当官
質疑応答