1. ビジネスガイド |
概要
プロジェクト・サイクル内には、企業がビジネス機会を発掘・追跡し、そうした機会に備えるための情報源が存在します。以下では、プロジェクト・サイクルの各段階で活用できる報告書や文書、通知についてご説明します。
プロジェクト発掘以前
一般に、特定の開発テーマについての調査は、経済・セクター分析(ESW)(英語)と呼ばれ、企業が様々なセクター、国、開発課題に関する世銀の考えを理解するために役立ちます。
貧困削減戦略文書(PRSP)
借入国自身が作成するもので、その国のマクロ経済政策、社会政策、構造政策、および貧困削減と経済成長促進のためのプログラムがまとめられています。PRSPは、借入国主導の参加型アプローチを用いて策定され、その国の開発優先順位を概観できます。
国別援助戦略(CAS)(英語)
世銀が借入国と協議の上で作成します。CASには、向こう4、5年間の世銀支援の戦略的優先項目と構成が記されています。CASにより企業は、途上国で実施される世銀プロジェクトがもたらすビジネス機会について知ることができます。
プロジェクト準備段階
プロジェクトが準備段階にあるときは、3つの主要文書があります。
月間業務概要書(MOS)(英語)
世銀が融資を検討しているプロジェクトの主眼と目標をまとめた文書です。プロジェクトは、発掘段階から理事会が融資契約を承認し、借入国が署名するまで、MOSに掲載されます。プロジェクトの状況は毎月更新されるため、MOSはプロジェクト・サイクルを通して、プロジェクトの進捗状況を確認できる有益なツールとなっています。
プロジェクト情報文書(PID)
通常は発掘段階の最後で世銀タスクチームリーダーが作成しますが、その内容はプロジェクト承認まで更新が可能です。PIDはプロジェクトの主な目標、コンポーネント、資金調達、リスクを説明した約8~10ページの文書です。PIDは世銀のプロジェクト・データベース(英語)から閲覧が可能です。
PID例:ウズベキスタン Alat and Karakul Water Supply Project(英語)
プロジェクト審査文書(PAD)
世銀プロジェクトを最も包括的に説明した文書です。PADには、その国とセクターの背景情報、プロジェクトの目標、リスク、資金調達、諸条件、実施に関する事項(そのプロジェクトで用いられる調達方法を説明した調達スケジュールなど)が記されています。PADは、世銀理事会で融資が承認された後に一般に公開され、世銀のプロジェクト・データベースで閲覧が可能となります。
PAD例:ウズベキスタン Alat and Karakul Water Supply Project(英語)
一般調達通知書(GPN)
借入国が準備し、世銀にそれを提出しなければならない文書です。GPNは審査段階や交渉段階で公開されることもあります。GPNには、そのプロジェクトで調達される機器、機材、工事、サービスの種類がおおまかに記載されています。GPNは、国連開発ビジネス(UNDB)(英語)と世銀ウェブサイトにて掲載されます。
プロジェクト実施段階
特定調達通知書(SPN)と関心表明要請(REI)
借入国が公示する文書です。SPNは機材、機器、土木工事についての入札の募集で、REIはコンサルタントに対して、プロジェクトに対する関心表明の提出を呼びかけるものです。借入国はこれらの関心表明を審査・検討した上で、最終選考に残った企業に詳細な提案書の提出を求めます。SPNとREIは入札参加希望者に、入札書や関心表明の提出、提出期限、その他の要件を指示します。大型の契約(機材と土木工事の場合は国際競争入札によって発注される契約、コンサルティング・サービスの場合は30万ドル超)や特殊な契約は、国連開発ビジネス(UNDB)に掲載することが義務付けられています。
世銀ウェブサイトの発注データベース(英語)にて、世銀融資による大型案件の落札者を確認できます。
外部ウェブサイト
国連開発ビジネス(UNDB)は、国連広報局が公開しており、4種類の情報(業務概要、新規承認プロジェクト、調達通知書、落札結果)を提供しています。UNDBの閲覧には登録が必要です。
参考資料