世界銀行の新たな分析は、健全なPPP規制がある場合に社会インフラへのPPP投資が4億8800万ドル増加することを示した。.
ワシントン、2024年9月25日 – 世界銀行の「ベンチマーキング・インフラ開発」の最新報告書は、官民連携(PPP)の規制改革と社会インフラ投資に高い相関性があることを示した。PPP枠組みに関する大きな改革を実施した国は、1990年から2022年の間にインフラ投資が平均で4億8800万ドル増加した。
「明確の規則が確立されると、民間部門にとりインフラ投資への敷居がぐっと低くなり、各国政府の資金へのアクセスも改善する」と世界銀行のグアンゼ・チェン副総裁(インフラ担当)は話す。 「より多くの資金調達が可能となるため、政府が経済成長を促進、雇用を創出して人々の生活を向上させる重要なインフラ開発を手掛けることがさらに容易になる」
「ベンチマーキング・インフラ開発」報告書は2015年から発行されているが、最新版は140カ国のPPPの規制枠組みを分析し、これらの規制を国際認定された良き慣行に照らして評価した。それによると、45カ国が2019年から2022年にPPP規制枠組みを強化する改革を実施した。
ただ、PPP改革と、運輸やエネルギー、水道や情報通信技術への投資レベルとの相関性は強いものの、報告書は規制はPPPが成功する要因の1つに過ぎないと指摘する。独立した1つのPPPプロジェクトの成功を、持続可能なインフラ投資へ前進させるには、この他にとりわけ政治経済の安定、官部門のコミットメント、成熟した金融市場、実効性あるリスク分散、そして長期ビジョンを有する政府とパートナーの連係が必要となる。
PPP改革、特にPPP準備についてはその質や性格でギャップが依然残る。実現可能性の分析から環境評価、そして契約の透明性などを含む投資サイクルの中で鍵となるこのPPPは、前回報告書時点からの改善はほとんどない。例を挙げれば、技術とイノベーションに関する市場への前もっての打診が義務付けられている国は5%しかなく、2019年から1%の伸びにとどまる。報告書がカバーした140カ国のうちわずか3分の1しかPPP取引書類を定型化、あるいはインターネット上で公開しておらず、この点については2019年から全く前進がみられない。
「政府調達当局が民間のインフラ投資金融を誘致する際の大きな障害の一つが巧みに構築・準備されたPPPプロジェクトの欠如だ」と、世界銀行上席エコノミストで報告書主筆のフェルナンダ・ルイズ・ヌネズは説明する。「もしより多くの国が、認証された良き慣行に基づき準備されたプロジェクトを手掛ければ、インフラPPPがさらに増えることになろう」
「ベンチマーキング・インフラ開発」報告書は、1万を超える法律事務所への聞き取りから直接得たデータ、関係官僚、商工会議所、学会関係者ほかPPP専門家からの聴取を基にしている。データは高所得国、中所得国、低所得国をあまねくカバーしており、それぞれの国の経済軌道に沿って役立つ省察を提供する。このデータの幅広さと深さを踏まえ、報告書は市民やプロジェクト遂行当事者、政府職員らすべての利害関係者が、それぞれの国がどう前進しているかを探り、どんな追加的改革を推進すべきかをこのデータで考えていただきたい。