これまでは、製造業主導の開発が雇用創出と繁栄促進のための伝統的モデルとして機能してきた。だが過去30年間に、多くの途上国でサービス産業が製造業よりも速いペースで成長を遂げており、2019年、途上国のサービス産業は平均でGDPの55%、雇用の45%を占めるに至った。開発途上国において経済に占める製造業の割合が減少する中、低・中所得国はサービス産業で質の高い雇用機会を拡大しつつ、高所得国に追いつくことができるのだろうか。世界銀行は新報告書「途上国におけるサービス産業の貢献:サービス主導型開発の可能性」の中で、サービス主導型開発の可能性について検証している。調査結果と予想される影響は、世界銀行が「より多くの人によりよい仕事」を提供するために掲げる雇用と経済的変革のアジェンダにとって励みになるものである。
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同書は、政策担当者が製造業を重視しているにもかかわらず、サービス産業が経済的変革をこれまで以上に牽引するようになっているとしている。「現在、低・中所得国の労働者の半数はサービス産業で雇用されており、1990年代以降その生産性が向上し、収入を得ることが可能になっている。」と、共同執筆者のガウラブ・ナイヤール公正成長・金融・制度担当副総裁室シニア・エコノミストは言う。
「サービス主導型の経済的変革は実現可能である。規模拡大、イノベーション、波及効果など、過去に製造業の生産性を高めた要素について新たな機会が開かれているからだ。」と、共同執筆者のエルウィン・デイビス公正成長・金融・制度担当副総裁室エコノミストは言う。遠隔サービス、支店開設やフランチャイズ網の構築の可能性が開け、サービス提供者がより大きな市場にアクセスする機会が拡大している。ビジネスの過程でデジタル・テクノロジーを活用し、無形資本を蓄積することで、労働力を補いながらイノベーションを推進することができる。サービス産業はまた、工業製品の川上部門を支え川下部門を補うなど、ほかの部門に恩恵をもたらす。