課題
バングラデシュには150万人近いがん患者がおり、毎年200万人が新たにがんと診断されています。がんによる死亡者数は年間9万人を超えます。男性の患者数が最も多いのは肺がんと咽頭がん、女性の場合は乳がんと子宮頸がんです。専門病院に行けばがんの治療施設はありますが、十分とは言えず、治療費も非常に高額です。特に、不利な立場にある人々にとっては経済的負担が重くなります。がんを早期に、かつ安価に発見できる時間効率のよい診断法があれば、がん治療は劇的に改善される可能性があります。ごく初期の開発段階にあるテクノロジーの場合、政府や非政府機関の保健サービス部局や、新しい診断装置を製造する業界から支援を得ることができます。他方で、技術の普及やマーケティングに関する課題もあります。新しいテクノロジーは、数十億ドルの市場規模を持つがん治療産業に大きな混乱をもたらす可能性が高いからです。
アプローチ
HEQEPは産学共同研究のエコシステムの構築を支援しました。大学が研究能力を強化できるよう多額の資金を提供し、科学者が最先端の研究を実施するために必要な環境を整えたのです。シャージャラル科学技術大学には、最先端の機器を備えた研究所が設立されました。新しい研究所で優秀な研究者たちが技術を実生活に応用する可能性を探り、有機、無機、生体サンプルの分析に取り組みました。これが、がん細胞サンプル中の光バイオマーカーを識別する手法の利用につながりました。大学の研究者たちは実験に必要な血液サンプルやその他の試料を処理するため、Invent Technologies社とパートナーシップを結びました。