課題
現在、サモアの交通セクターは多くの太平洋島嶼国と同様に、障害者のニーズに十分に対応していません。そのため、障害を持つ住民にとっては通勤のような日常的な行動ですら困難を伴います。しかも、サモアは熱帯性低気圧や洪水、地震に非常に弱く、こうした事象が発生すると、インフラサービスの提供や財、社会サービス(保健施設など)へのアクセスが滞ります。気候変動がもたらす影響により、混乱は今後さらに拡大し、障害者が直面する課題はますます増加する可能性があります。目下の課題は、障害者の生活条件の改善です。問題は大きく二つあり、一つは日常生活のバリアフリー化を推進し、障害者が確実に社会に参加できるようにすること、もう一つは災害への備えを強化し、脆弱なコミュニティの社会的強靭性を強化することです。
アプローチ
道路アクセス強化プロジェクト(ERAP)では、脆弱なコミュニティのニーズに積極的に対応し、プロジェクトの実施に主要ステークホルダーからの助言を反映するため、工事の設計段階においてアクセス指針とアクセス監査が導入されました。道路や橋の建設工事では、天然資源環境省が発行するアクセス指針が参照され、工事に着手する前に、障害者が利用しやすい設計になっているか、スロープ、広い舗道、標識といったバリアフリー機能が考慮されているかが確認されました。アクセス監査では、さまざまなニーズを持つ障害者が現場を視察し、採点システムを利用して改善可能な点を指摘しました。また、ERAPが資金を提供するインフラ投資プロジェクトでは、気候変動に対する強靱性と信頼性を確実に高めるために、主要輸送ルートの設計には、より高い基準が適用されています。