21世紀の新興国・途上国経済

世界経済の成長率は、2025~26年、2.7%で安定して推移すると見込まれる。しかし、持続的な経済開発を促進するには不十分である。新興国及び途上国では、21世紀の第2四半世紀に入るにあたり、先進国の国民一人当たりの所得水準に追いつくには遅いペースが続いている。低所得国の大半は、2050年までに中所得国入りを期待できる軌道には乗っていない。より好ましい外部環境の醸成、マクロ経済の安定性向上、構造的な制約の軽減、気候変動の影響への対応、長期的な成長と開発の加速のためには、世界規模および国内レベルでの政策措置が求められている。 

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世界経済予測

インフレ率が目標値に近づき、金融緩和が経済活動を支える中、世界経済の成長は安定しつつある。それにより2025~26年の世界経済は2.7%の緩やかな成長が見込まれている。ただし、この成長見通しでは、過去数年に起こった各種のショックによるダメージを相殺するには不十分である。政策の不確実性の高まりと不当な貿易政策への転換が主要な下振れリスクとなっている。その他のリスクとしては、地政学的な緊張の激化、インフレ率の予想以上の上昇、さらなる異常気象の発生などが挙げられる。貿易の保護、債務の脆弱性の解決、気候変動への対応、物価安定の追求、歳入の拡大と歳出の合理化、人的資本の強化、そして労働力の包摂強化を実現するために、断固とした政策措置が必要である。 

  実質GDP成長率 (%)   改定*
  2022 2023 2024e 2025f 2026f   2024e 2025f 2026f
世界 3.2 2.7 2.7 2.7 2.7   0.1 0.0 0.0
先進国 2.8 1.7 1.7 1.7 1.8   0.2 0.0 0.0
新興国・途上国 3.7 4.2 4.1 4.1 4.0   0.1 0.1 0.1
   東アジア・大洋州地域 3.4 5.1 4.9 4.6 4.1   0.1 0.4 0.0
   ヨーロッパ・中央アジア地域 1.6 3.4 3.2 2.5 2.7   0.2 -0.4 -0.1
   ラテンアメリカ・カリブ海地域 4.0 2.3 2.2 2.5 2.6   0.4 -0.2 0.0
   中東・北アフリカ地域 5.4 1.7 1.8 3.4 4.1   -1.0 -0.8 0.5
   南アジア地域 5.8 6.6 6.0 6.2 6.2   -0.2 0.0 0.0
   サブサハラ・アフリカ地域 3.8 2.9 3.2 4.1 4.3   -0.3 0.2 0.3
* 2024年6月予測からの%㌽変化
すべてのデータはExcelファイルとしてダウンロードできます。

地域別予測

新興国及び途上国の今年の成長見通しは地域によって異なっている。東アジア・太平洋地域とヨーロッパ・中央アジア地域は、一部の主要経済における減速を反映して、成長の鈍化が予測される。一方、ラテンアメリカ・カリブ海、中東・北アフリカ、南アジア、サブサハラ・アフリカの各地域では、堅調な内需に支えられ、回復が見込まれている。2026年には、大半の地域で成長の加速が予測される。今回の見通しに対しては、世界の貿易政策の望ましくない転換を中心に、引き続き下振れリスクが大きくなっている。他の下振れリスクとしては、紛争の激化、主要国のさらなる成長鈍化、インフレ率の上昇とそれに伴う金融緩和の遅れ、そして気候変動関連の自然災害の発生が挙げられる。

東アジア・太平洋地域:経済成長率は2025年に4.6%、2026年に4.1%に減速。詳細は地域別概要 を参照。

ヨーロッパ・中央アジア地域:経済成長率は2025年に2.5%に減速し、2026年に2.7%に上昇。詳細は地域別概要(英語) を参照。

ラテンアメリカ・カリブ海地域:経済成長率は2025年に2.5%、2026年に2.6%に小幅に上昇。詳細は地域別概要(英語)を参照。

中東・北アフリカ地域:経済成長率は2025年に3.4%、2026年に4.1%に上昇。詳細は地域別概要(英語) を参照。

南アジア地域:経済成長率は2025年に6.2%まで上昇し、2026年も同じペースを維持。詳細は地域別概要(英語) を参照。

サブサハラ・アフリカ: 経済成長率は2025年に4.1%、2026年に4.3%と堅調に推移。詳細は地域別概要(英語) を参照。

プレスリリース

発行日 プレスリリース 東アジア・大洋州地域
2025年1月16日 世界経済は安定するも、途上国は一段と厳しい状況に直面; 長期的な成長見通しは今世紀で最も低調 (PDF)
 2024年6月11日 世界の成長率、3年ぶりに安定へ; ただ、世界の80%の人々にとりコロナ禍以前10年間平均より低い成長に (PDF)
2024年1月9日 世界経済、過去30年で最低の水準へ ―投資拡大と財政政策強化に向けた改革が流れを変える可能性― (PDF)
 2023年6月6日 世界経済、高金利の継続で足元不安定に (PDF)
2023年1月10日 急激かつ継続する成長減速が開発途上国に大打撃; 2023年の世界経済成長率は1.7%に減速 6カ月前予測は3.0% (PDF)
 2022年6月7日 経済成長急減速の中高まるスタグフレーションリスク; ウクライナの戦争はインフレ高進と金融環境のタイト化を招来 (PDF)
 2022年1月11日 世界経済、2023年まで成長減速 高まる途上国の「ハードランディング」リスク (PDF)
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 2014年6月10日 世界銀行、世界経済見通しを下方修正、途上国は国内改革に一層の努力を ..
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