マルパス総裁:ありがとうございます。
皆様おはようございます。本日はご参加いただきありがとうございます。
1月の「世界経済見通し(GEP)」発表以降、世界経済の成長は弱まり、モメンタムも脆弱なままとなっています。
本日発表となりました「世界経済見通し」が指摘するように、景況感は落ち込み、世界貿易はさらに減速するとともに、新興国・途上国に対する投資が低調な状況が続いています。
投資の低迷により持続的な成長の基盤が揺らぎかねないことから、これは憂慮すべき事態だと言えます。貧困削減と生活水準の改善には一段と力強い経済成長が不可欠です。世界経済の見通しは、短期・長期ともに大きな問題に直面しています。
成長の下振れリスクとして、貿易障壁の増加、政府債務の蓄積、主要国の成長のさらなる減速などが挙げられます。
新興国・途上国では、ビジネス環境が十分に整備されておらず、労働市場と製品市場には様々な制約が課せられ、ガバナンスは脆弱であるなど、投資の適切な配分または投資そのものを阻む構造面の問題も成長の抑制要因となっています。
世界経済の鈍化、政策の不確実性の上昇、そして限定的な財政余力などから、途上国への投資の伸びは引き続き低調で過去の平均を下回ると予測されています。
また本報告書は、もうひとつの懸念事項として債務の増大を挙げています。新興国・途上国の政府債務は2007年以降、対GDP比で平均で15%、さらには51%増加しているところもあります。低金利環境下において、これら国々には、投資の促進のための借入と債務を過剰な水準まで蓄積することに伴うリスクの回避との間で、慎重にバランスを取ることが求められます。
最後に、GEP報告書では、生活水準の改善に取り組む低所得国が直面している様々な問題についても詳細に述べています。こうした問題に対処するには、包括的な政策措置が必要となります。たとえば、世界貿易への組み込みを一段と進めるとともに、海外直接投資の促進、ガバナンスとビジネス環境の強化、金融システムの深化、そして金融包摂の促進などが必要でしょう。
様々な政策手段を用い投資と成長の見通しを改善することができます。ビジネス環境を改善し投資を誘引するための大胆な構造改革の早急な実施が不可欠です。
同時に、新たな債務による資金を活用することで成長と投資を促すことができるよう、債務管理と透明性の向上を最優先課題に据えなければなりません。
では、デイビッド・シーシスとアイハン・コーゼが報告書の詳しい内容を説明いたします。続けて質疑応答も行います。
本日はご参加いただきありがとうございます。