会見に先立ち、まず、お悔やみの言葉を申し上げたいと思います。ネルソン・マンデラ氏の訃報に、全世界が深い悲しみに包まれています。南アフリカの国民の皆様に心から哀悼の意を表します。
黒人と白人という人種の壁により分断された国に、七色の希望をもたらしたマンデラ氏は旅立たれましたが、その功績は、人類への贈り物として残っています。
マンデラ氏のリーダーシップはこの上なく偉大であり、問題解決に向けた献身ぶりに、我々は大いに勇気付けられてきました。また、変化をもたらす事は可能であり、人々の自由と幸福がかかっている場合にはなお更、根本的な変化を追及しなければならないことを教えられました。
この悲しい知らせを受け、南アフリカ国民の皆様に心よりお悔やみ申し上げたいと思います。
麻生大臣、報道関係者およびご来賓の皆様、<日本語> また日本に来ることができて、大変うれしく思います。
日本政府および日本国民の皆様には、世界銀行グループに対して多大な貢献を賜り、厚く御礼申し上げます。また、世界の開発援助における日本のリーダーシップと、世銀グループに対する長年の支援に深く感謝いたします。
現在、日本と世銀が協力して取り組んでいる主要課題の中から、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジおよび災害リスク管理について、簡単にご説明させていただきます。
日本は両分野において多大な知識と専門技術を蓄積してこられ、世銀グループはそのノウハウを活用させていただいております。
安倍総理のリーダーシップの下、日本がユニバーサル・ヘルス・カバレッジ実現を「国際保健外交戦略」の柱として掲げたことを大いに歓迎いたします。
本日の保健政策閣僚級会合でも指摘された通り、途上国では、貧困層のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ実現に不可欠な保健改革を進める動きが広がっています。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの追求により、健康状態だけでなく、公平性も向上します。
災害リスク管理については、今回のフィリピンの壊滅的な被害が示すとおり、自然災害がその国と人々に社会的、経済的に甚大な被害をもたらし得ることを、我々は改めて認識しました。
世銀グループは、台風30号(ハイエン)被害からの復興支援に向け、フィリピンに総額10億ドル近い支援の提供を行いました。
1980年から2012年の間に、自然災害による損失は、世界全体で3兆8000億ドルに上るという試算がありますが、うち74%は異常気象によるものです。
すべての自然災害を避けられるわけではありませんが、こうした災害が人々に与える影響は、効果的な計画立案や備えの準備により、間違いなく軽減することが可能です。
日本政府と世銀は、災害リスク管理を開発の優先課題とすべく力を注いできました。2014年初めには、東京に「防災ハブ」を設ける予定です。
防災ハブは、災害リスク管理に関する日本の高い知識の普及を促進していきます。また、自然災害リスクの管理および軽減に関する日本の知見や技術を、各途上国のニーズに合った形で提供することにより、知識のブローカーとして重要な役割を担っていきます。
最後に、世銀グループの最貧国向け基金である国際開発協会(IDA)について、日本が中心的役割を果たしてこられたことを強調させてください。
IDAの支援により、雇用創出の他、安全な飲料水、学校、道路、食糧、電気などへのアクセスを通じて、数億人が貧困から抜け出してきました。IDA資金により、この10年間で5億人近い子供が予防接種を受け、1億2300万人が整備された飲料水源へのアクセスを確保し、6500万人が保健サービスを受けました。
世銀グループは今後も日本と緊密なパートナーシップを続けていく所存です。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジおよび災害リスク管理に関する日本の膨大な知識と専門技術を活用していきます。我々が力を合わせれば、2030年までに極度の貧困をなくし、繁栄の共有を促進するという、国際社会の大いなる目標を達成することはできるはずです。
<日本語>ありがとうございました。