ワシントン、2025年2月18日 – 本日発表された「ガザ・西岸地区の被害・ニーズの暫定調査(IRDNA)」によると、ガザ地区の復興と復旧のニーズには推定530億ドルが必要となる。報告書は、2023年10月から2024年10月までのデータに基づき、パレスチナ経済のほぼ全セクターにおける損害と損失、さらには復旧と復興のニーズを分析している。
- 今回の暫定調査は、復旧と復興の計画立案に必要となる情報を得るため、様々な状況で適用され世界的に認められた方法論を用いている。
- 現場では立ち入り制限が課されていることと、ガザ地区での状況が急激に変化しているため、影響とニーズに関するIRDNAの推定は暫定的なものとなっている。
- 物理的構造物だけでも損害は推定約300億ドルにのぼる。
- 住宅部門は突出して大きな被害を受けて全損害の53%を占め、次いで商業・工業部門が20%を占める。
- 保健、水、運輸といったライフライン・インフラへの甚大な被害は、総損害の推定15%以上を占める。
- 生産性の低下、失われた収益、事業コストによる経済的損失は推定190億ドルで、中でも保健、教育、商業が最も深刻である。
- セクターによって復旧ニーズは、4,100万~4,700万トンの瓦礫や石片の管理に必要な資金など、物理的破壊の価額よりも大きい場合がある。
ガザ地区のほぼすべての部門が、経済生産の全面的な停止を強いられている。ガザ地区の物価は1年間で300%以上高騰し、食料価格だけでも450%上昇している。ガザ地区の経済は2024年に83%縮小したとみられ、パレスチナ自治区の人口の40%が住んでいるにもかかわらず、経済全体への貢献は3%にまで低下した。西岸地区の経済も低迷し、2024年には16%縮小したとみられる。
報告書は、世界銀行グループが国連、欧州連合(EU)と共同で作成したもので、短・中期的にみた復旧の取組みとそれに伴うコストの順序を決定るするための行程表となっている。特に重視されているのは、すべてのステークホルダーを関与させ緊密に調整されたマルチセクターの対応の重要性である。報告書はさらに、復旧と復興のスピード、規模、範囲は、ガバナンスの取決め、ガザ地区への人や物資の投入と地区内での移動性、法と秩序、安全と治安といった要素によって決まるとしている。