キーウ、2024年3月26日– 世界銀行理事会は本日、ウクライナに対する15億ドルの新しい開発政策オペレーション(DPO)を承認した。成長基盤の構築を目指す本事業は、ADVANCEウクライナ信託基金 を通じ9億8,400万ドルを日本の財務省が信用保証し、5億1,600万ドルを英国政府が保証する。
本事業は、2件続くプロポーザルの1件目であり、国の経済政策枠組みの強化とマクロ金融安定化に必要な改革においてウクライナ政府を支援する。不可欠な競争力強化、金融セクター、エネルギー市場、貿易、財政改革の強化を重点項目と位置付け、民間投資と生産性を共に高めることでウクライナの成長力を支えることを目標としている。
「ウクライナは、途方もない課題に向き合いつつも、将来的な欧州連合(EU)加盟と自国の長期的繁栄の実現を見据え、困難な改革を進めている」と、アントネラ・バッサーニ世界銀行ヨーロッパ・中央アジア地域総局副総裁は述べた。「我々は、ウクライナ当局がこうした取組みを進め、マクロ経済の安定性を維持し、国民への基礎的サービスの提供を持続していることを称え、引き続き支援していく。世界銀行と国際パートナーは、ウクライナの人々が国と経済を立て直し再建することができるよう支援を続けていく」
本事業は2つの柱で構成されている。第1の柱は、持続可能な成長に向けた構造転換促進のための経済政策枠組みの強化である。具体的には、国有企業の企業統治を強化し、財政的に持続可能かつ効果的なグリーン・エネルギーへの移行を可能にし、農業を中心に民間部門への信用供与を促進し、ウクライナの関税規制を欧州連合(EU)に合わせるための政策的措置を指す。
第2の柱は、成長に資する環境構築に向けたマクロ金融安定化である。具体的には、国内の歳入の潜在力を強化し、資本市場の監督を改善し、公共調達における腐敗リスクからの防衛手段となる政策的措置を指す。
成長基盤構築に向けたDPOは今回が初となり、ウクライナが2024年の資金ニーズを満たせるようにする国際的支援パッケージにおいて要となる。進行中のその他のプロジェクトとしては、保健、運輸、エネルギー、住宅、農業の各分野における緊急プロジェクトがあり、資金の迅速な実行が可能な柔軟な設計を通じてパートナーから資金を動員しているが、追加資金が確保できた際、必要に応じて規模の拡大も可能である。
ロシアによる侵略開始以来の世界銀行の主なウクライナ支援
行政機能のための公共支出支援(PEACE)-2022年6月設立:PEACEの下でウクライナ政府は、1,000万人の年金受給者、50万人の教育機関職員、14万5,000人の公務員、5万6,000人の救急隊員、300万人以上の社会扶助受給者を含む1,500万人以上のウクライナ人への支援を継続できている。本プロジェクトの支援により、政府が引き続きその中核職務を100%執行し、年金生活者の98%が期日通りに給付を受け、国内避難民と社会扶助受給者の90%以上が期日通りに給付を受けた。PEACEプロジェクトは、世界銀行と他の開発パートナーからの融資とグラントを組み合わせたもので、総額は現在255億ドルを超える。2024年3月現在、実行額は250億ドル超に達している。
ウクライナ復旧・復興支援基金(URTF) -世界銀行が2022年12月に設立:世界銀行の第3次被害・ニーズ評価(RDNA3)で概説されている通り、運輸、エネルギー、 保健、住宅、農業などウクライナの主要セクターにおける喫緊のニーズに対応するプロジェクトのためのマルチドナー信託基金ファシリティである。 ウクライナでは、越冬・エネルギー資源修復プロジェクト、基幹物流インフラとネットワーク接続の修復(RELINC)プロジェクト、ウクライナの健康増進・救命(HEAL)プロジェクト、 人々のエンパワーメントのための住宅再建(HOPE)プロジェクト、 ウクライナ農業復興包摂的支援緊急(ARISE)プロジェクトなど、いくつかのプロジェクトが既にURTF資金の恩恵を受けている。