鉱物のバリューチェーンとグローバル・クリーンエネルギー製造業における開発途上国の役割強化のためのRISEパートナーシップ新設
マラケシュ、2023年10月11日—雇用創出と気候変動への対応は、貧困との闘いにおける最大の課題である。本日、世界銀行と日本が立ち上げた画期的な新しいパートナーシップは、この二つの課題に取り組むものである。本パートナーシップには、イタリア、韓国、カナダ、英国も参加している。
RISE(強靭で包摂的なサプライチェーンの強化)は、新興国・開発途上国(EMDC)のクリーンエネルギー製品の製造拡大及び世界の鉱物バリューチェーンでの役割強化を支援し、質の高い雇用創出と経済成長につながるよう支援するものである。日本、カナダ、イタリア、韓国、英国がRISEに総額4,000万ドル以上の拠出を表明しており、さらに多くのドナーからの拠出が見込まれている。
鈴木俊一財務大臣と世界銀行のアジェイ・バンガ総裁は、モロッコのマラケシュで開催中の世界銀行・国際通貨基金2023年年次総会で共催したイベントに於いて同パートナーシップの設置を発表した。チリ、インドも開発途上国の代表として同イベントに参列し、RISEパートナーシップの重要性を強調した。
世界銀行のアジェイ・バンガ総裁は、「我々は今まさにこうしたイニシアティブを必要としている。このパートナーシップは、開発途上国に健全な経済と生活しやすい地球という明るい未来を約束するものである。各国は、クリーンエネルギーや鉱業産業における新たな経済機会を得ることができ、自国とその家族にとって、より良い生活を築くための雇用につながる。」と述べた。
エネルギー移行は1兆ドル規模の市場を創出し、世界の鉱物バリューチェーン全体で数千万人の雇用を生み出すとみられ、EMDCが生産能力の向上、雇用の拡大、長期的な経済発展を達成する契機にできる。
鈴木俊一財務大臣は、「日本政府は、低・中所得国の持続可能な開発とクリーンエネルギー製品のサプライチェーンの多様化を支援するため、RISEに総額2,500万ドルを拠出予定である。様々なステークホルダーと緊密に協力してこのイニシアティブを着実に推進していく。」と述べた。
カナダのクリスティアナ・フリーランド副首相兼財務大臣は、「クリーンエコノミーは、私たちが協力することで、より強固なものとなる。カナダはRISEパートナーシップに貢献できることを誇りに思う。このパートナーシップは、中低所得国における重要な経済成長を加速させるとともに、私たちが共有するクリーンエネルギーと重要鉱物の重要なサプライチェーンを強化する。」と述べた。
イタリアのジャンカルロ・ジョルジェッティ経済・財務大臣は、「クリーンエネルギーへの移行は、開発途上国、特にアフリカにとって、持続可能な成長のまたとない機会である。RISEパートナーシップは 鉱物生産の付加価値を高め、グローバル・サプライチェーンにおける開発途上国の役割を強化し、経済的・社会的に高いリターンが期待できる。イタリアは2024年のG7議長下で、RISEに貢献するとともに、RISEの実施を支援する。」と述べた。
韓国のチュ・ギョンホ経済副総理兼企画財政部長官は、「RISEはサプライチェーンの中流・下流での鍵となる役割を果たすことで付加価値を創出し、開発途上国に新たな成長機会をもたらす。」と述べた。
英国のジェレミー・ハント財務大臣は、「英国は、RISE パートナーシップに参加し、中低所得国への投資を増やすという役割を支援できることを誇りに思う。より環境に優しい未来は、世界中に恩恵をもたらすものであり、我々は協力することでこれをより良く達成できる。」と述べた。
RISEパートナーシップは、気候変動との闘いにおける重要な要素である経済の強靱性強化と、世界の鉱物バリューチェーンの持続可能性向上と多角化に貢献する。環境政策、社会開発、グッドガバナンスを推進することで、重要な鉱物、クリーンエネルギー製造、および関連インフラへの民間・公的投資に対する既存の障壁のいくつかを取り除くことにもなる。