新ファシリティによりウクライナとモルドバへの国際的支援も補完
ワシントン、2023年5月18日 –世界銀行理事会は本日、国際開発協会(IDA)による危機管理ファシリティの設置を承認し、食糧不安や異常気象など、複合する世界的危機による開発課題悪化への対応に向け、世界の最貧国支援を拡大していく。
ロシアのウクライナ侵略によって悪化したエネルギー・食料価格の世界的高騰とインフレ率上昇は、最貧困層や最脆弱層に特に大きな打撃をもたらしている。ウクライナでの戦争の余波により、アフリカと中東を中心に、コロナ危機と気候変動がもたらした著しい後退がさらに悪化を続けている。
こうした事態を受け、新しく設置される危機管理ファシリティは、各国が食糧不安や経済的ショック、頻度と激しさを増す自然災害、公衆衛生上の緊急事態や深刻な疾病の大流行に対応できるよう資金を提供する。
「最貧国の短期的見通しは依然として極めて厳しく、資金需要が高まっている。IDAはドナー国政府と協力し、資金レバレッジ力を駆使して危機管理ファシリティのために追加資金を動員し、高まる脆弱性に対応できるよう各国を支援していく。」と、IDAを統括する西尾明彦 世界銀行開発金融総局担当副総裁は述べた。
2022年7月から2025年6月までを対象期間とするIDA第20次増資(IDA20)では、危機対応枠向けの資金の65%以上が、すでに初年度にコミットされている。危機管理ファシリティは、残り2年間の資金を補完する。
また危機管理ファシリティは、世界的連帯の精神の下、ウクライナの再建と復興に向け多国間・二国間パートナーにより続けられている資金援助も補完する。ウクライナと、ウクライナ難民を受け入れている隣国モルドバの双方に、戦争による社会・経済的影響が広範囲にわたって続いていることへの対応である。
IDAのバランスシートは出資国拠出金と債券発行を組み合わせたハイブリッド型資金調達モデルの導入により最適化された結果、レバレッジ効果として動員資金を上回る支援額を得ており、危機管理ファシリティはその恩恵を受ける。ドナーは、クライシス・ファシリティの支援規模が発表される2023年12月までに具体的な拠出額をプレッジする予定となっている。
IDAについて
世界銀行の国際開発協会(IDA)は、世界の最貧国・最脆弱国75カ国における極度の貧困との闘いに最大規模の資金援助を行っている。IDAは世界各国で経済成長と強靱性強化を促進し、貧困層の生活水準を向上させるプロジェクトやプログラムに贈与(無償資金)と低利子または無利子の融資を提供している。1960年の設立以来、114カ国に総額4,960億ドルを提供している。
更新日: 05/18/2023