バリ、2022年11月13日 —G20議長国を務めるインドネシアは本日、パンデミック基金事務局と共に、パンデミック基金の発足を発表した。発表は、20カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)の機会にインドネシアのジョコ・ウィドド大統領が開会の辞を述べたハイレベル・イベントにて行われた。
同イベントの講演者は、パンデミック基金は、感染症の地域的・世界的な大流行が世界の最脆弱国にもたらすリスクの軽減策の欠かせない要素であり、世界的な健康と安全の強化に貢献するとして、その発足を歓迎した。ハイレベルな講演者には、インドネシアのスリ・ムルヤニ・インドラワティ財務大臣とブディ・サディキン保健大臣、世界銀行グループのデイビッド・マルパス総裁、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長、米国のジャネット・イエレン財務長官、イタリアのジャンカルロ・ジョルゲッティ経済財務大臣、中国の曹雪涛国家衛生健康委員会副主任、世界銀行のアクセル・ヴァン・トロッツェンバーグ専務理事(業務統括)、パンデミック基金理事会のチャティブ・バスリ共同議長などが含まれる。
コロナ危機では、低・中所得国を中心に、深刻な脆弱性とならび、パンデミックに対する予防、備え及び対応(PPR)への投資が不十分であることが露呈した。これを踏まえ、パンデミック基金は、各国が将来における保健への世界的脅威のリスクを軽減できるよう機能強化を図ることを目的としている。そのために、PPR専用の長期的な資金の流れを確保し、国、地域、グローバルの各レベルにおける投資と技術支援を通じ、深刻な不足部分を補う。パンデミック基金はまた、各国がこの問題への対応を優先させ、自ら取組みを強化するよう奨励することが期待される。
「途上国におけるパンデミックに対する予防、備え及び対応(PPR)への投資に特化した資金メカニズム構築に国際社会が一丸となって取り組むのは今回が初めてであり、まさに国際協調の証しである。」と、パンデミック基金理事会のチャティブ・バスリ共同議長は述べた。「パンデミック基金は、より安全な世界の構築に向けて独自にして不可欠な役割を担う。PPRは、すべての人に恩恵をもたらす地球公共財である。低・中所得国のPPRへの投資のために現在動員する資金は全額が、人命を救い、財政負担を軽減するために役立てられ、ひいては将来的な世界の強靱化につながる。」
パンデミック基金は、G20の今回の議長国インドネシアが2021年10月の議長国イタリアと共に策定したもので、既に24のドナーが14億ドルのシード基金拠出を表明している。世界銀行とWHOは、パンデミック基金創設のために、パートナー国、市民社会組織(CSO)、実施機関候補など、多様なステークホルダーと協議を進めた。
「パンデミック基金は、業務成功のための強固な基盤となる構造を備えている。」と、パンデミック基金事務局のプリヤ・バス理事長は述べた。「同基金は、拠出者と共同投資者の代表者数に偏りがないようにし、市民社会が大きな発言権を持てるような包摂的ガバナンスを旨としている。PPRのための国際的な資金提供に既に加わっている様々な組織を通じて各国に支援を提供できるよう柔軟性をもたせ、そうした組織の取組みや各国独自の取組みを補足していく。また、パートナー間での調整強化を重視しており、透明性と説明責任について高い基準を維持していく。」
9月にパンデミック基金が発足し第1回理事会が開催されて以来、さまざまな業務プロセスにおいて多くが達成されてきた。例えば、理念、重点分野、さらには、最大のインパクト実現のための資金配分基準の策定が進捗し、ならびに、2022年12月半ばまたは2023年1月初旬に予定されている第1回プロポーザル募集の準備としての技術的助言パネル(TAP)が立上げられた。
TAPは、新たに議長に就任したマイケル・ライアン博士のリーダーシップの下、国際保健規則(HR2005)など、国際的に認められた法的枠組みの順守に加え、PPRのより広範なグローバル構造の一環としてワンヘルス・アプローチとの一貫性を徹底するため、各資金プロポーザルの技術的利点についてアセスメントを実施し、理事会に提言を行っていく。
詳細はウェブサイトをご参照ください。 www.worldbank.org/pandemicfund