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プレスリリース2022年10月17日

世界的混乱の中でも中央アジア全域で貧困率が低下

アルマティ、2022年10月17日 – 中央アジア地域の貧困率は、コロナ危機で短期間ながら大幅に増えた後、全域で低下が進んでいると、世界銀行は貧困撲滅のための国際デーである本日、中央アジア地域に関するオンライン・ブリーフィングで指摘した。ただし、持続的な貧困削減の軌道に戻るにあたっては、グローバル経済の減速予測、出稼ぎ労働者からの送金をめぐるリスク、食料を中心とする物価上昇など、いくつもの懸念材料がある。

コロナ危機は、世界各国における貧困削減の進捗にとって深刻な打撃をもたらし、2020年、基本的に歩みは中断し、約7,000万人が極度の貧困に陥った。中央アジア諸国も例外ではなかった。世界銀行は2021年に、労働市場の回復と共に、出稼ぎ労働者と送金の再開により、中央アジア諸国はパンデミック以前の貧困レベルまで回復し、2022年以降も貧困を脱却する人が増え続けるだろうとする予測を発表した。ウクライナでの戦争と、世界の食料・燃料価格の驚くほどの急上昇により、先行きの不透明感が大きく高まっており、貧困との闘いにおける域内の成果が帳消しにされかねない。それでも、世界銀行が今回のブリーフィングで強調した通り、「中央アジアへの聞き取り」調査では、回答者の大半が地域の労働市場の健全性について楽観的な見方を強めており、世界的な危機が生活にもたらしかねない混乱について大きな懸念はみられるものの、大半の場所で、所得は生活費の伸びよりも速いペースで増えていた。

今回のブリーフィングで、世界銀行は、キルギス共和国、タジキスタン、ウズベキスタンなど低中所得国で1日3.65ドル、カザフスタンなど高中所得国で1日6.85ドルという、このほど更新された国際貧困ラインにもとづき、中央アジアにおける貧困について推定値を示した。この新しい貧困ラインによると、低中所得国ラインを使うと約500万人が、高中所得国ラインを使うと2,000万人が貧困層に分類される。新しい貧困ラインは、各国間の生活費の違いを調整する購買力平価について最新の換算係数を用いている。

世界銀行の専門家はまた、広範でコストのかかる補助金から、支援を最も必要とする人に対象を絞った現金給付へのシフトなど、近年の進歩の勢いを失わせない優先的政策措置についても概要を示した。

「対象を絞った現金給付は、最脆弱層の健全な生活を支援するための有効な方法である。世界全体で見ると、そうした歳出の内、約60%が所得の下位40%の貧困層に充てられている。これとは対照的に、中央アジア諸国など多くの中所得国では、エネルギー補助金のための全歳出の約半分が最も裕福な層を潤わせている。」と、ウィリアム・サイツ世界銀行中央アジア地域担当シニア・エコノミストは述べた。

専門家はまた、人的資本開発への公共支出を優先することの必要性を指摘した。

「中央アジア地域の最新の貧困見通しは、回復に向けた希望の持てる兆候がみられるものの、多くの課題が残っている。」と、タティアナ・プロスクリヤコバ世界銀行中央アジア地域担当局長は述べた。「特に深刻な課題のひとつに、パンデミックによる人的資本の開発への永続的影響がある。教育と保健に対する効率的な投資による社会への見返りは、域内各国の政府にとって有数の規模となる。」

世界銀行の専門家はまた、貧困層を守りつつ、必要な公共投資の原資となり得る形で政府がより効果的に資金を動員する機会について検証した。議論の対象となった政策は以下の通り:

  • 土地・財産税の原資としての役割拡大。現在は、中央アジア諸国の税収としてほとんど貢献していない。
  • タバコ、アルコール、糖分の多い飲み物など、健康に害を及ぼしかねないものへの税金の活用拡大
  • 域内の所得税・法人税として比較的均等な税の導入。その結果、中・低所得層から税金の形で所得に見合った貢献が見込める。
プレスリリース番号: 2023/ECA/25

お問い合せ

アルマティ:
Zarina Nurmukhambetova
ワシントン:
Sona Panajyan
東京:
開裕香子
+81 (3) 3597 6650

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