東京 2022年9月20日―世界銀行(正式名称: 国際復興開発銀行(IBRD)、ムーディーズ: Aaa、スタンダード&プアーズ: AAA)はこの度、期間10年(償還:2032年9月)、総額3億1,500万豪ドルのサステナブル・ディベロップメント・ボンドを発行し、開発途上国の貧困撲滅と持続可能な繁栄のための包括的な生物多様性の保全及び生態系管理に取り組む世界銀行の活動を支持する日本の機関投資家が本債券を購入しました。本件には、明治安田生命保険相互会社と富国生命保険相互会社を含む、複数の日本の機関投資家にご参加いただきました。
世界銀行 有馬良行財務局駐日代表は次のように述べました。「世界銀行は、加盟開発途上国の経済成長や将来の強靭性向上の一環として、生物多様性や生態系保護を支援する取り組みを強化しております。生物多様性の急速な減少や生態系の劣化は、莫大な損失と財政的負担をもたらし、この対処には民間資金の動員も不可欠です。日本の複数の投資家が共通の問題意識のもとに、昨年のグリーンボンド、四月のサステナブル・デベロップメント・ボンドに続き、再び共同投資を世界に先駆けてご実施頂いたことは、金額的に大きなインパクトがあることに加え、投資資金の社会と環境への貢献度が投資判断において引き続き重要であることを示しました。生物多様性問題への対処は、開発途上国が抱える様々な問題を包括的に解決するために極めて重要です。本件により、環境問題の解決への資本市場の貢献が一段と加速することに期待しています。」
生物多様性は、持続可能な開発、気候変動への対応力、そして人々が心身ともに健康な生活を送るためには極めて重要です。動物、地球、海洋の生物多様性は、生態系の機能と経済的な生産性を維持するための「自然資本」を構成しています。世界のGDPの半分は、生物多様性と生態系サービス(淡水や森林、二酸化炭素の貯留や隔離、観光を支える自然景観、土壌の形成など)からの恩恵を受けていますが、過去50年間で自然資本が急激に減少し、少なくとも100万種の生物が絶滅の危機に瀕しています。2030年までにこの生物多様性と生態系サービスの損失を回復させるためには年間7,000億米ドルが必要だと推定されています。
自然資本に対する最大の国際金融機関の一つである世界銀行は、民間資本や成果報酬型ファイナンス等を動員し、世界中で様々な解決策に取り組んでいます。世界銀行の生態系経済統合モデルは、自然損失に伴う開発リスクを明らかにするもので、世界銀行の国連生物多様性条約(COP15)への貢献の一環として効果的な政策対応の特定に役立っています。
明治安田生命保険相互会社 荒谷雅夫 取締役 代表執行役副社長は次のように述べました。「生物多様性の損失が世界的な課題となっていることをふまえ、明治安田生命では『生物多様性(自然環境の破壊リスク)』を重点取組テーマに指定し、取組みを強化しています。当社は生物多様性保全や生態系保護への支援を行なう世界銀行の取組みに賛同し、本債券への投資を実施いたしました。当社は『確かな安心を、いつまでも』という経営理念のもと、ESG投融資を通じてグローバルな環境・社会課題の解決と国内地域経済活性化等の地域貢献により、社会的価値を創出することを推進しています。引き続き、責任ある機関投資家として、持続可能な社会の実現に貢献する資産運用を行なってまいります。」
富国生命保険相互会社 渡部毅彦 取締役常務執行役員は次のように述べました。「富国生命は、『生命保険事業を営む相互会社として、持続可能な社会の実現に貢献する』という経営方針に則り、ESG課題を考慮した投融資に積極的に取り組んでおります。今回の生物多様性をテーマとしたサステナブル・ディベロップメント・ボンドへの投資は、収益性の確保のみならず、これまで取り組んできた気候変動問題や海洋汚染問題への取組みを支援する投融資とともに、当社が求める『超長期のサステナビリティ』に資すると考えております。今後も、公共性の高い生命保険事業を営む相互会社として、“THE MUTUAL”というコンセプトのもと、真の“相互扶助”を体現する組織であることを目指してまいります。」
本件の取扱証券会社には、シティグループ証券株式会社及びモルガン・スタンレーMUFG証券株式会社が指名されました。本債券は、世界銀行のサステナブル・ディベロップメント・ボンドフレームワークに沿って発行されています。
エルリー・ワイネット・シーリグ、シティグループ マーケッツESG グローバル責任者は次のように述べました。「世界銀行及び日本の主要な機関投資家による生物多様性の保全の重要性を啓発することを目的として初めて発行するサステナブル・ディベロップメント・ボンドの起債に携わることができ光栄に思います。生物多様性は、人類史上かつてない速さで失われています。生物多様性損失の原因に対処する世界銀行のリーダーシップと、その回復に向けた取り組みは、シティグループやお客様の目標を補完するものです。」
クリスティーナ・ラカチ、モルガン・スタンレー 資本市場部門 ESGストラクチャリンググローバル・ヘッドは次のように述べました。「モルガン・スタンレーは、生物多様性の保全を啓発するこの画期的な取引に、世界銀行と日本の機関投資家とともに携われたことを誇りに思います。 世界銀行のサステナブル・ディベロップメント・ボンドは発展途上国における持続可能な開発プロジェクトに不可欠な資金調達を支えており、当社は世界銀行の持続可能性への取り組みを引き続き支援していくことを楽しみにしています。」
本件は、2022年3月にIBRDが発行した初の生物多様性を対象とした成果連動型債券である「野生動物保護債」に追随するものです。日本市場においては、2022年4月に気候変動対策に対する世界銀行の包括的な取り組みに賛同する複数の本邦生命保険会社向けに発行したサステナブル・ディベロップメント・ボンド(期間8年、豪ドル建て)に続き、日本の機関投資家が緊急の開発課題解決に向けた世界銀行への支持を再び共同表明するものとなりました。
発行概要
発行体: | 世界銀行( 国際復興開発銀行:IBRD) |
発行体格付: | Aaa /AAA |
発行額: | 3億1,500万豪ドル |
決済日: | 2022年9月27日 |
償還日: | 2032年9月27日 |
発行価格: | 100.00% |
発行単位: | 1,000,000豪ドル |
金利: | 4.229% (年率) |
ISIN: | XS2532660318 |
決済機関: | ユーロクリア、クリアストリーム、ルクセンブルグ証券取引所 |
引受会社 (取扱い証券会社): | シティグループ・グローバル・マーケッツ・リミテッド (シティグループ証券株式会社)、モルガン・スタンレー・アンド・カンパニー・インターナショナル・ピーエルシー (モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社) |
世界銀行(正式名称:国際復興開発銀行)について
世界銀行(国際復興開発銀行、通称IBRD: International Bank for Reconstruction and Development)は、1944年に設立が合意された国際開発金融機関で、現在189の加盟国が出資し運営しています。極度の貧困の撲滅と繁栄の共有促進という目標の達成と持続可能な開発目標(SDGs)を支援するために、IBRDは中所得国及び信用力のある低所得国に対し、融資・保証、リスク管理サービスに加え、開発に関わる様々な分野の専門的な分析・助言サービスを提供しています。また、地域及び世界規模の開発課題への取組みを主導する役割も果たしています。世界銀行は持続可能な開発プロジェクト及びプログラムへの融資資金を調達するために、70年以上にわたり国際資本市場で債券(世銀債)を発行しています。詳しくは世界銀行財務局ウェブサイトをご覧ください。
世銀債は、開発プロジェクトやプログラムへの融資を通じて持続可能な開発目標(SDGs)の達成を促進しています。すべての世銀債はIBRD の支援対象となる加盟国で展開する環境と社会の両方に配慮した持続可能な開発プロジェクトやプログラムへの融資を支えており、国際資本市場協会(ICMA)によるサステナビリティボンド・ガイドラインと整合しています。詳しくは世界銀行サステナブル・ディベロップメント・ボンドフレームワークに掲載されています。世界銀行は、グリーンボンドおよびソーシャルボンド原則の執行委員会のメンバーでもあります。世界銀行は、持続可能な開発において民間セクターの資金の重要性を促進するために投資家との戦略的パートナーシップを構築することを資本市場における重要な優先事項としています。世界銀行インパクトレポートは、世界銀行の開発支援活動がどのように持続可能な開発目標(SDGs)に寄与し、特定の開発課題に対してどのように投資家と関わりながら人々の認識を高めているのかについて説明しています。
ディスクレーマー
本世銀債の発行により調達した資金は、特定のプロジェクトやプログラムへの融資に直接割り当てられることはありません。世銀債の元利金の支払いは、世界銀行の信用力に基づき行われるため、投資家は個々の融資プロジェクトやプログラムのリスクを負う事はありません。
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