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プレスリリース2022年7月14日

2022年度、世界銀行グループは重なり合う危機への対応に1,150億ドル近くを提供

ワシントン、2022年7月14日—世界銀行グループは終了したばかりの2022年度(FY22)に、80年ぶりの大幅な景気後退、インフレ率上昇、食料不足の深刻化、戦争と脆弱性、依然として残るコロナ危機の悪影響に助言と資金を提供するなど、重なり合う世界規模の危機に過去最大規模の対応を行った。

世界銀行が2022年度(2021年7月1日~2022年6月30日)に提供した額は、こうした壊滅的危機の中、過去最高の1,149億ドルに上った。2022年度中の誓約額は、貧困・最脆弱層を優先対象とする、食料価格高騰への対応、難民流入、公衆衛生面での備え強化、民間貿易の継続に加え、気候変動の緩和・適応の取組みにおいて各国を支援するものだった。

「戦争から食糧・エネルギー価格の高騰まで、途上国は複数の問題に直面しており、格差が拡大し、開発成果が失われつつある。」とマルパス世界銀行総裁は述べた。「世界銀行グループは、大規模でインパクトのある対応を迅速に進めてきた。最初はコロナ危機への対応としてだったが、今は食料危機、ウクライナでの戦争とその波及的影響に取り組むため、資金投入、分析支援、政策助言を連続して行ってきた。」

世界銀行グループの誓約額(単位:10億ドル)

20年度

21年度

22年度*

国際復興開発銀行(IBRD)

28.5

30.5

33.1

国際開発協会(IDA)

30.4

36.1

37.7

国際金融公社(IFC)

28.4

31.5

32.8

     長期投融資(自己勘定分)

11.1

12.5

12.6

     動員額

10.8

10.8

10.6

     短期投融資

6.5

8.2

9.7

多数国間投資保証機関(MIGA)

4.0

5.2

4.9

援助受入国実施信託基金(RETF)

3.6

6.4

6.4

合計(短期投融資、動員額、RETFを除く)

74.0

84.3

88.2

合計(短期投融資、動員額、RETFを含む)

94.9

109.7

114.9

*7月14日時点の監査前暫定値。四捨五入のため、合計と内訳の計は必ずしも一致しない。

2022年度、世界銀行(IBRDとIDA)は、708億ドルの援助をコミットした。これは、過去最高額であり、危機以前である2013~2019年度までの年金コミットメント額よりも70%近く高い。ここには、中所得国や一部の高所得国を支援するための国際復興開発銀行(IBRD)からの331億ドル、国際開発協会(IDA)から世界の最貧国へのグラントおよび無利子または低金利の融資377億ドルが含まれる。2022年度、脆弱性・紛争・暴力(FCV)の影響下にある国々へのIDAによるコミットメントは、IDAコミットメント総額の43%に相当する162億ドルに達した。

世界銀行は2022年度、資金ニーズの高まりに応えるため、IDA第19次増資(IDA19)の未実行資金を全額使い切った。その結果、IDA第20次増資(IDA20)が1年前倒しされ、2025年6月までの対象期間に貧困国を引き続き支援するため930億ドルが確保された。IBRDもまた、2018年に行われた資本増資の際に設けられた危機準備金を取り崩すことで原資を確保した。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって以来、世界銀行グループが提供総額は、2022年度第4四半期の526億ドルを含め、2,720億ドルに達した。2022年4月から2023年6月までの15カ月間の提供額は1,700億ドルに達するとみられる。その中から、社会的保護と農業、栄養、水、灌漑のプロジェクトなど、食料不足に特化した取り組みへの資金提供が重要な役割を果たすことになる。世界銀行はこの15カ月間に、今回の食料危機への世界規模での総合的対応の一環として約300億ドルを用意しており、その内120億ドルは、食料・栄養システムに関する充実したデータと分析作業に基づいた新規の貸出となる。世界銀行は4月1日以来、食料危機関連の32件のプロジェクトに着手し、この分野に53億ドルの提供を誓約している。

世界銀行は、2021~25年を対象とする気候変動行動計画(CCAP)に沿って世界銀行グループの2022年度も引き続き、気候変動対策資金を大幅に引き上げた。CCAPは、世界銀行グループによる支援全体の平均35%を気候対策に充て、世界銀行による気候変動対策資金の少なくとも50%を適応に充てると誓約している。世界銀行の気候変動対策資金の総額は2022年度、過去最高の260億ドル(誓約額の37%)に上り、2019年度の142億ドルから83%増となった。2022年度に適応に充てられた金額は過去最高の128億ドルで、気候変動対策資金に占める割合は目標の50%をわずかに下回る49%だった。世界銀行グループは、CCAPの一環として、国別気候・開発報告書(CCDR)の発表を始めた。CCDRは、気候変動対策と開発の取組みを一本化する新たな主要診断ツールとして、温室効果ガスの排出削減と適応促進に向けて最も効果的な取組みに各国が優先的に従事するための指針となる。トルコベトナムに関する報告書が既に発表されているほか、さらに20カ国についての報告書が完成間近で数カ月以内に発表の予定である。

世界銀行は2022年度もコロナ危機に集中的に対応し、2020年4月から2022年6月までのコロナ対応資金は、IBRDとIDAの誓約額としてそれぞれ376億ドルと351億ドルを含め、728億ドルに達した。2022年6月30日の時点で、世界銀行が78カ国におけるワクチンの調達・配布のために101億ドルを承認しており、この内46億ドルが42のアフリカ諸国を対象としている。世界銀行の承認済み資金により、6億回分以上の接種について調達契約が締結されており、この内4億3,000万回分は納品済みである。世界銀行はまた、低・中所得国を重点対象に、パンデミックに対する予防、備え及び対応(PPR)の機能を国、地域、グローバルの各レベルで強化するため、金融仲介基金(FIF)の設置を進めている。同基金には既に10億ドルを超える拠出のコミットメントが表明されており、PPR専用の追加資金を確保し、各国に投資拡大を促し、パートナー間での協力を強化し、保健システム強化と資金動員に協力して取り組むべきだと主張するプラットフォームの枠割を担う。

女性の経済への全面的参画を図る取組みにおいても進捗がみられた。2022年度における世界銀行のプロジェクトの内、目標をはるかに上回る過去最大の90%がジェンダー格差の縮小に役立っている。

世界銀行とIFCは2022年度も引き続き、債券市場を通じて民間資金を動員した。持続可能な開発の取組みの原資として、IBRDは約410億ドルを、IDAは約100億ドルを資本市場の投資家から調達した。IFCは新興国における民間セクター開発と雇用創出のために90億ドル超の債券を発行した。IBRD、IDA、IFCはいずれもAAA/Aaaの格付けを得ている。

世界銀行グループは、途上国の民間セクターの強化・発展において極めて重要な役割を担っている。IFCは2022年度に誓約額が過去最高の328億ドルに達し、ここにはIFCの自己勘定126億ドルが含まれ、その内35億ドルがIDA支援対象国や脆弱・紛争国(FCS)向けだった。金融機関が貿易金融を縮小する中、IFCは輸出入ビジネスが滞ることのないよう貿易金融に過去最高の97億ドルを誓約し、この内70%近くがIDA支援対象国やFCSに対するものだった。気候変動対策資金もまた、IFCで好調な実績を上げている分野で、過去最高値を上回る44億ドルで自己勘定誓約額の35%に達した。パンデミックが始まって以来、IFCは147件のコロナ対策プロジェクトに212億ドルを誓約している。2022年度、IFCの自己勘定のコロナ関連の長期投融資誓約額は54億ドルに達した。

多数国間投資保証機関(MIGA)は、途上国へのインパクトのある外国直接投資の促進を目指しており、危機発生後の15カ月間に49億ドルの新規保証を発行した。この内32%はIDA支援対象国、12%がFCS諸国、28%が気候変動対策向けだった。

お問い合せ:

ワシントン: David Theis, (202) 458-8626, dtheis@worldbankgroup.org 

映像関係: David W. Young, (202) 473-4691, dyoung7@worldbankgroup.org  

東京: 開裕香子 +81 (3) 3597 6650 yhiraki@worldbankgroup.org

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プレスリリース番号: 2023/002/EXC

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