2021年7月20日 東京ー世界銀行(正式名称: 国際復興開発銀行(IBRD)、ムーディーズ: Aaa、スタンダード&プアーズ: AAA)は、期間3年のブラジルレアル建(発行額: 1,500万ブラジルレアル)および期間3年のインドルピー建(発行額2億7,630万インドルピー)のサステナブル・ディベロップメント・ボンド(開発途上国の持続可能な発展を支える世銀債)を発行し、野村證券株式会社が全額を引受け、日本の個人投資家に販売しました。
世界銀行のサステナブル・ディベロップメント・ボンドは、世界銀行が開発途上国のために取り組む農業・食料安全保障、教育、エネルギー、金融、貿易・産業、保健、行政・インフラ・ガバナンス、水・公衆衛生、環境、ジェンダー平等などの幅広い分野の開発プロジェクトを支えるために国際資本市場で発行されます。世界銀行のすべての開発プロジェクトは、極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進という世界銀行の2大目標に従い、環境と社会に良いインパクトと成果をもたらすように設計されています。この2つの目標は、国連の「持続可能な開発目標 (SDGs)」とも連携しています。
今回の販売で野村證券は、栄養不良という世界的な課題を採り上げ、世界銀行が開発途上国で取り組む栄養改善プロジェクトの事例を紹介しました。栄養改善の取組みは持続可能な開発には重要な要素であり、SDG2(飢餓をゼロに)に直接貢献するだけでなく、その他の多くのSDGsへの貢献にも繋がります。
新型コロナウィルスの危機により、1億3,500万人の食料安全保障が急速に悪化し、3,400万人が飢えに直面すると見られています。さらに、2022年までに急性栄養不良の子どもが930万人、発育阻害の子どもが260万人増加すると推計されており、栄養改善に向けた長年の取組みの成果を後退させかねないという事が示されています。幼少期の発育阻害は、脳の発達、強いては学習能力や成人後の労働生産性に影響を与えるため、その負荷は生涯にわたって続きます。世界銀行は、政府、その他機関、投資家などの様々なパートナーと協力し、最も栄養改善を必要とする脆弱な立場の人々への支援の拡充を目指しています。
人的資本構築のための栄養分野への支援に日本の投資家の関心が高まっています。栄養不良問題への取組みを重要と考え、世界銀行の栄養改善への取組みに賛同する日本の機関投資家並びに個人投資家向けのサステナブル・ディベロップメント・ボンドの発行は、2020年以来、総額 約1億4,000万米ドル相当となります。
2021年12月には、日本政府がホスト国を務め世界中のさまざまな組織の栄養改善支援が表明される東京栄養サミット(Nutrition for Growth Summit: N4G)の開催が予定されています。世界銀行は日本政府および様々なパートナーとの協力のもと、栄養改善に関する国際的な動きを牽引する役割も果たしています。
世界銀行が取り組むプロジェクト事例
インドネシア:社会扶助改革プログラム(IBRD 融資承認額: 総額6億米ドル)
インドネシアの5歳未満の子どもの3人に1人は、同国の近年の力強い経済成長にもかかわらず、発育阻害に苦しんでいます。本プロジェクトは、条件付き現金給付事業対象者範囲の拡大、サービス提供システムの強化並びに他の補完的な社会扶助事業との連携を促進することにより、0〜6歳の子どもの栄養状態の改善を目指します。また、本プロジェクトでは、新型コロナウィルス感染拡大に対するインドネシア政府の対応を支援するための追加融資も実施されています。これにより1,000万人の脆弱な人々や非正規労働者へ一時緊急給付金を支給し生活を保護します。また、社会扶助事業の促進と対象範囲を拡大し、将来の大規模な自然災害や感染症の大流行等に備え、迅速な対応が行えるよう支援します。プロジェクトの詳細はこちらををご覧ください。(英語)P160665 P172381
エスワティニ :人的資本構築のための保健システム強化プロジェクト(IBRD 融資承認額: 2,000万米ドル)
エスワティニでは、栄養不良、乳児と妊産婦の高い死亡率、HIV感染者数の割合の多さなど、健康上の課題が人的資本構築に悪影響を及ぼしています。本プロジェクトは、同国の保健システムの強化、性と生殖に関する健康並びに母子・青年ための保健サービス、栄養改善や非感染症疾患の予防などの向上を目的としています。期待される成果には、8万2,000人の女性と子供への基礎栄養サービスの実施が含まれています。プロジェクトの詳細はこちらをご覧ください。(英語)P168564
*上記プロジェクトは、事例のご紹介のみを目的としており、今回の世界銀行債券の資金の活用を上記プロジェクト又はその分野に限定するものではありません。
世界銀行(正式名称:国際復興開発銀行)について
世界銀行(国際復興開発銀行、通称IBRD:International Bank for Reconstruction and Development)は、1944年に設立が合意された国際開発金融機関で、現在189の加盟国が出資し運営しています。極度の貧困の撲滅と繁栄の共有促進という目標の達成と持続可能な開発目標(SDGs)を支援するために、IBRDは中所得国及び信用力のある低所得国に対し、融資・保証、リスク管理サービスに加え、開発に関わる様々な分野の専門的な分析・助言サービスを提供しています。また、地域及び世界規模の開発課題への取組みを主導する役割も果たしています。世界銀行は持続可能な開発プロジェクト及びプログラムへの融資資金を調達するために、70年以上にわたり国際資本市場で債券(世銀債)を発行しています。詳しくは世界銀行財務局ウェブサイトをご覧ください。
世銀債は、開発プロジェクトやプログラムへの融資を通じて持続可能な開発目標(SDGs)の達成を促進しています。すべての世銀債はIBRD の支援対象となる加盟国で展開する環境と社会の両方に配慮した持続可能な開発プロジェクトやプログラムへの融資を支えており、国際資本市場協会(ICMA)によるサステナビリティボンド・ガイドラインと整合しています。詳しくは世界銀行サステナブル・ディベロップメント・ボンドフレームワークに掲載されています。世界銀行は、グリーンボンドおよびソーシャルボンド原則の執行委員会のメンバーでもあります。世界銀行は、持続可能な開発において民間セクターの資金の重要性を促進するために投資家との戦略的パートナーシップを構築することを資本市場における重要な優先事項としています。世界銀行インパクトレポートは、世界銀行の開発支援活動がどのように持続可能な開発目標(SDGs)に寄与し、特定の開発課題に対してどのように投資家と関わりながら人々の認識を高めているのかについて説明しています。
ディスクレーマー
*世銀債の発行により調達した資金は、特定のプロジェクトやプログラムへの融資に直接割り当てられことはなく、世界銀行加盟国における全ての融資プロジェクトやプログラム対し均一に活用されます。世銀債の元利金の支払いは、世界銀行の信用力に基づき行われるため、投資家は個々の融資プロジェクトやプログラムのリスクを負う事はありません。
*本プレスリリースは、世界銀行債券の購入の勧誘もしくは販売を目的とするものではありません。世界銀行債券の販売は、販売を担当する金融機関より交付される販売説明書等に基づき行われます。世界銀行債券の購入の勧誘は、単独または複数の国の法律に準拠して行われており、関係する全ての法律が遵守されない場合は、購入の勧誘もしくは販売を行うことはできません。