東京、2019年12月5日 – 今年の三月以来、世界銀行は、投資家とのエンゲージメントを通じて、食品ロス・廃棄問題の重要性に対する人々の意識を高め、特に持続可能な開発目標(SDG 12.3)が掲げる「2030年までに食料の廃棄を半減させる」という課題に焦点を当てたサステナブル・デベロップメント・ボンドを発行して参りました。
世界銀行は2019年3月に、初めての食品ロス・廃棄問題に対する意識の喚起を目的としたサステナブル・ディベロップメント・ボンドを発行し、全額をスウェーデンのフォルクサムグループにご投資頂きました。以来、10種類の通貨建で25銘柄のサステナブル・ディベロップメント・ボンドを発行し、発行総額は20億ドル相当(約2,180億円)に達しました。直近の大型起債には、SEB社が単独主幹事を務めたノルウェークローネ建て世銀債(10億クローネ、2025年3月13日満期、1.75%クーポン)がありました。
世界銀行の債券は、加盟国の持続可能な開発プロジェクトやプログラムを支えています。例えば、IBRDが中所得国に提供している46億ドルの融資は、インフラの整備、市場アクセスや物流の改善、廃棄物管理等への投資を通じ、食料の生産から流通までの過程(サプライチェーン)における食品ロス・廃棄問題の解決に寄与しています。世界の年間温室効果ガス排出量の8%は食品ロス・廃棄に起因していることから、ロス・廃棄の削減は飢餓の撲滅、持続可能な食料生産や食事、消費の支援、ひいては気候変動への対処など、幅広い分野に良い影響を与えます。
食品ロス・廃棄問題に対する意識の喚起を目的としたサステナブル・ディベロップメント・ボンドには、様々な銀行や資産運用会社、保険会社、年金基金からご投資をいただきました。特に日本の投資家の関心は高く、総取引量の約8割を占め、中でも農林中央金庫からは約12億ドルのご投資をいただいています。
農林中央金庫の新分敬人代表理事専務・グローバル・インベストメンツ本部長は以下のように述べています。「農林中央金庫は、世界的課題となっている食品ロス・廃棄問題への対処を推進する世界銀行の取り組みに賛同し、本債券への投資を実施致しました。本投資は、当金庫の目指すサステナブル経営の理念に合致するとともに、国際分散投資を通じた安定的な収益の確保にも資するものと考えております。当金庫は、農林水産業の食と地域のくらしを支える協同組織金融機関として、世界銀行とも連携しながら、今後も様々な環境・社会課題の解決に貢献する投資に取り組んでまいります。」
日本からは、第一生命保険株式会社、富国生命保険相互会社にもご投資いただいたほか、岡三証券株式会社、内藤証券株式会社、野村證券株式会社、TSUBASAアライアンスを通じて、個人投資家にも販売され、現在とちぎんTT証券と池田泉州TT証券でも販売中です。
世界銀行財務局の有馬良行駐日代表は次のように述べています。「食品ロス・廃棄問題に対する意識の喚起を目的とした世銀債に、日本を中心とした世界各国の投資家から短期間に大きな需要があったことは、資本市場と民間企業が金融資産や事業を通じて、この課題の解決に大きな役割を果たし得ることを示しています。」
世銀債(年間発行額:500~600億米ドル)は、持続可能な開発目標(SDGs)に資するプログラムを資金面で支えています。世界銀行の債券は、国際資本市場協会(ICMA)が発行するサステナビリティボンド・ガイドラインに準拠しており、世界銀行はICMAのグリーンボンド原則およびソーシャルボンド原則の執行委員会のメンバーでもあります。世界銀行は、投資家と戦略的パートナーシップを構築し、持続可能な開発における民間投資の重要性を広く発信していくことを、資本市場とのエンゲージメントにおける重要な優先事項としています。
免責事項
上述した世銀債の発行により調達した資金の使途は、特定のプロジェクトやプログラムへの融資に限定されるものではありません。世銀債の元利金の支払いは、世界銀行の信用力に基づき行われるため、投資家は個々の融資プロジェクトやプログラムのリスクを負う事はありません。
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