国レベルの持続可能性パフォーマンス情報の提供により、透明性の向上と持続可能な開発に沿った投資を支援
ワシントンD.C. 2019年10月29日 – 世界銀行は本日、誰もが国レベルの環境・社会・ガバナンス(ESG)データを入手できる、オープンで使いやすい無料のオンラインプラットフォーム、 ソブリンESGデータポータル(Sovereign ESG Data Portal)を立ち上げた。本ポータルは、投資家が持続可能な開発政策の主要目標に沿ったESG分析を実施できるよう支援するものであり、データの透明性を高め、新興市場や途上国への民間セクターからの投資を促進することを目的としている。
「投資家は以前から、ESG情報は投資と高い関連性があり多くのケースでは不可欠との認識を持っていました。特に途上国への投資の場合この傾向が顕著ですが、経験やデータが乏しいことから十分な情報に基づいた意思決定を行うことが困難でした。この度のESG データポータルの開設は、入手可能なESGデータの質や範囲、透明性、適時性を高めるだけでなく、分析やフィールドワークの経験を投資家らが活用できる機会を提供するものです。本データポータルは、GPIF の運用受託機関の投資判断を高め、質の向上につながると確信しています。」 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道理事兼最高投資責任者(CIO)は述べた。
ソブリンESGデータポータルは、入手可能なデータに基づき、各国の政策や国内の状況をバランスよく映し出すために選ばれた17の指標で構成されており、開設時は現在の市場動向や世界銀行の活用実績を基に選択された指標が設定されている。本フレームワークには計67の指標が組み込まれており、17の持続可能な開発目標(SDGs)を全て網羅している。利用者は世界銀行(IBRDとIDA)の全加盟国に関するデータのダウンロードが可能となる。
「持続可能な開発を支援するために世銀債を購入している投資家と接する中で我々は、市場ではこの分野で投資のESG分析を可能にする質の高い情報に強い関心が持たれていることに気づきました。こうした需要を満たすために我々のチームが続けてきた取組みが、ソブリンESGデータポータルという形で結実したことを非常に喜ばしく思います。本プラットフォームは、ESGデータの活用と理解の双方を促進し、さらなる資本を持続可能な開発に呼び込むことを目指しています。」とジョージ・リチャードソン世界銀行財務局資本市場部局長は述べた。
ESG基準の重要性を証明する調査は増加傾向にあり、投資家が、債券を含む全ての金融商品について関連するESGのリスクと潜在的成果を管理・評価する必要があることを示唆している。世界銀行は、GPIFとの共同研究プログラムの一環として、研究活動の実施、及び投資家やESG研究機関との協議を通じて、データの入手可能性や入手方法に関する課題の特定に取り組んできた。
「世界銀行グループは、資本市場を通じた持続可能な資金ソリューションの開発に重要な役割を果たしていますが、質の高いソブリンESGデータやツールのタイムリーな提供は、そうした活動の中心を成すものです。ソブリンESGデータポータルの開設は、投資の持続可能性の向上に取り組む金融セクターを支援するものです。」と、 アルフォンソ・モラ世界銀行金融・競争力・イノベーション・グローバルプラクティス局長は述べた。
本ポータルには今後、自然資本、人的資本、貧困削減、座礁資産等に関する新たな指標(国土空間データやビッグデータに基づく指標を含む)が追加される予定である。
「質の高いデータが、如何に投資の選択の幅を広め、開発成果の改善に貢献するか。この好例がソブリンESGデータポータルです。」と ハイシャン・フー世界銀行開発データ・グループ長は述べた。「投資家が、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿った健全な投資判断を下すためには、質の高いデータが不可欠です。」
ソブリンESGデータポータルは、 金融セクター改革強化イニシアティブ (FIRST) と 持続可能性に関するグローバルプログラム (GPS) の支援を受けて、世界銀行の金融・競争力・イノベーション・グローバルプラクティスが 世界銀行財務局及び開発データグループと共同で運営する。
ソブリンESGデータポータルはこちらから: https://esgdata.worldbank.org