東京 2019年 9月20日―世界銀行(正式名称:国際復興開発銀行:IBRD、ムーディーズ: Aaa、スタンダード&プアーズ: AAA)は、総額5億米ドルのサステナブル・ディベロップメント・ボンドを発行し、日本の農林水産業を基盤とする国内最大規模の金融機関の一つである農林中央金庫が全額を購入しました。
世界で生産されている食品の3分の1が毎年食品ロス・食品廃棄によって失われており、その経済損失は年間1兆ドル(*110兆円相当額)と言われています。また、食品ロス・食品廃棄に起因して排出される温暖化ガスは、年間世界総排出量の8%を占めています。さらに、世界では8億人以上の人々が飢えに苦しんでいる一方、生産されても最終的に食べられることのない食品には、農業で使用する水資源全体の25%を使用しています。 *1ドル/110円で計算
世界銀行の債券は、加盟国の持続可能な開発プロジェクトやプログラムを支えています。これには、中所得国における食料の生産から流通までの過程(サプライチェーン)での食品ロス問題の解決に向けた農業インフラの整備、市場アクセスや物流の改善、廃棄物管理等に対するIBRDの46億米ドルの融資も含まれています。
農林中央金庫は、農林水産業と食と地域のくらしを支える協同組織金融機関として、食品ロス・食品廃棄問題などの様々な環境・社会課題の解決に貢献する取組みを進めています。
■世界銀行(IBRD)プロジェクト事例
メキシコ:穀物貯蔵と情報へのアクセス改善プロジェクト(世界銀行融資額:1億2,000万米ドル)
メキシコでは、農業はGDPの約8%を占め、公式な労働人口の13%(700万人)の雇用を生み出す重要な産業です。しかし、農産物を貯蔵するインフラに関しては、必要な設備や均一に品質を維持する為の基準や規定が整っていないため、不十分または不適切なものになっています。本プロジェクトでは、小規模穀物生産者の穀物貯蔵施設や情報へのアクセスを改善し、食料安全保障の確保、市場への参入、競争力の強化を目指します。具体的には、収益性のある商品化の実施による生産性の向上、収穫後の管理による穀物損失の削減、金融やマーケット情報へのアクセスを構築する貯蔵システムに生産者が参入できるよう、市場環境を整備します。詳しくはこちらをご参照ください。(英語)
インド:アンドラ・プラデシュ州の灌漑と農業の統合プロジェクト(世界銀行融資額:1億7,200万米ドル)
農業はインドのGDP(国内総生産)の14%を占め、人口の50%以上が農業で生計を立てています。アンドラ・プラデシュ州は、インドで最も急速に成長している地域の1つですが、農業生産性が低く、天候に対する脆弱性が高いという問題があります。変動する降水量、不適切な土壌の状態管理、気候変動に対応する技術の知識不足や導入の遅れ、不適切な貯蔵庫と処理施設、および非効率性が生産性を低下させる要因になっています。本プロジェクトは、灌漑設備の効率改善、気候変動への意識の促進、農作物の収穫後の管理の改善、管理能力の強化を目的としています。収穫後の管理には、冷蔵施設への融資を含む農村部の市場施設の改善、損失を減らし付加価値を高め気候変動に対応する処理や保管方法、包装および取り扱い技術の向上を含みます。さらに、市場情報へのアクセスを改善し、バリューチェーンに関わる関係者間の連携を促進することを目指します。詳しくはこちらをご覧ください。(英語)
*上記プロジェクトは、事例のご紹介のみを目的としており、今回の世界銀行債券の資金の活用を上記プロジェクト又はその分野に限定するものではありません。
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*世銀債の発行により調達した資金は、特定のプロジェクトやプログラムへの融資に直接割り当てられことはなく、世界銀行加盟国における全ての融資プロジェクトやプログラム対し均一に活用されます。世銀債の元利金の支払いは、世界銀行の信用力に基づき行われるため、投資家は個々の融資プロジェクトやプログラムのリスクを負う事はありません。