東京、2019年6月3日ー世界銀行及び 岡三証券株式会社は、このたび、世界銀行(国際復興開発銀行:IBRD)が発行する「サステナブル・ディベロップメント・ボンド」について、国内の個人投資家向けに販売を行うこととなりましたので、お知らせいたします。今回発行される債券は、期間3年のロシアルーブル建て債券(発行額:52億40百万ルーブル)で、本日より販売いたします。
1.世界銀行のサステナブル・ディベロップメント・ボンドについて
世界銀行は、開発途上国の貧困撲滅および開発支援のため、教育・保健・インフラ・行政・農業・環境・女性の社会進出等の幅広い分野のプロジェクトに取り組んでいます。世界銀行のサステナブル・ディベロップメント・ボンドはこうした取り組みを支えるために発行されており、投資いただいた資金は開発途上国の持続的発展を目的とするプロジェクトへの融資案件に活用されます。
世界銀行は2030年までに「極度の貧困を撲滅」し、「繁栄の共有の促進」を持続可能な形で実現することを使命としており、この2つの目標は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」とも連携しています。
2.今回のサステナブル・ディベロップメント・ボンド発行の背景
本債券は、日本で初めて販売される「食品ロスと廃棄問題への取り組みの重要性」に焦点を当てた世銀債です。
世界では8億人以上の人々が飢えに苦しんでいる一方、世界で生産されている食品の3分の1が食品ロス・廃棄によって失われており、その経済損失は年間1兆ドル(110兆円相当額)とも言われています。また、食品廃棄等で排出される温暖化ガスは世界総排出量の8%を占め、国別排出量で比較すると世界第3位に相当する排出量になります。この問題の解決は、持続可能な開発目標 *(SDGs12.3)にも掲げられており、全世界規模での取り組みが急務となっています。
世界銀行は、市場へのアクセスや物流、廃棄物管理等の農業インフラの整備など、開発途上国で多く発生する食料の生産から流通までの過程(サプライチェーン)での食品ロスの問題に取り組むプロジェクトを実施しています。また、これらプロジェクトの事例紹介等を通じて、この世界的な問題に対する人々の意識を高める取り組みを行っています。
世界銀行の開発途上国支援プロジェクト事例
< 食品ロス問題への取り組み >
フィリピン: 農村開発プロジェクト (世界銀行融資額: 6億6,459万米ドル)
都市化が進むフィリピンでは、国民の半数が農村部で暮らしています。しかしながら農村経済は、低所得、低雇用率、食料安全保障の欠如、全体として深刻な貧困問題といった様々な課題を抱えています。中でも最大の問題は未整備の交通インフラで、天候によっては全農村の半分が主要交通インフラを使うことすらできず、さらに農業の新技術の導入も遅れていることから、収穫後の貯蔵と流通段階での食品ロスも大きな問題となっています。
本プロジェクトでは、農場から市場への道路や橋の整備、作物の収穫後の保管施設や生産設備の建設、農産物の生産・物流・販売で構成される商品バリューチェーンの強化など、同国全体の農業を近代化し、農村部のインフラの強化を行います。また、小規模農家に対して、技術支援や市場との連携構築など、市場へのアクセス拡大を支援し、市場価値のある農作物の生産量と農村部の所得の増加を目指します。詳しくはこちらをご参照ください。(英語)
メキシコ: 穀物貯蔵と情報へのアクセス改善プロジェクト (世界銀行融資額:1億2,000万米ドル)
農業は、GDPの約8%を占め、公式な労働人口の13%(700万人)の雇用を生み出すメキシコ経済における重要な産業です。しかし、農産物を貯蔵するインフラに関しては、必要な設備や均一に品質を維持する為の基準や規定が整っていないため、不十分または不適切なものになっています。さらに、従来の貯蔵施設の使用は、大きな穀粒損失を招いています。湿気、菌や害虫の発生等の問題により、トウモロコシ、小麦、豆の収穫後の損失は総生産量の5%~25%、農場での損失も13%~28%となっており、食料安全保障上大きな問題となっています。
本プロジェクトは、小規模穀物生産者の穀物貯蔵施設や情報へのアクセスを改善し、食料安全保障の確保、市場への参入、競争力の強化を目指します。具体的には、収益性のある商品化の実施による生産性の向上、収穫後の管理による穀物損失の削減、金融やマーケット情報へのアクセスを構築する貯蔵システムに生産者が参入できるよう、市場環境を整備します。 また、新しい貯蔵施設の建設、回収センターや取引所を含む既存の穀物貯蔵施設の修繕や機能向上などを実施し、穀物貯蔵インフラを改善します。詳しくはこちらをご参照ください。(英語)