セーシェル共和国/ワシントンDC/バリ、10月29日 – セーシェル共和国は、持続可能な海洋・漁業プロジェクトの支援を目的とする画期的な金融商品、ソブリン・ブルー・ボンドを世界で初めて発行した。
今回のブルー・ボンドは、世界中の投資家から1,500万ドルを集め、海洋資源の持続可能な活用のために資本市場から資金調達が可能であることを証明した。世界銀行は今回のブルー・ボンドの組成に加え、カルバート・インパクト・キャピタル、ヌビーン、プルデンシャルの3機関投資家への働きかけを支援した。
「このような画期的な金融商品を世界に先駆けて発行できたことを大変光栄に思います。ブルー・ボンドは、地元コミュニティと企業に権限をもたらすための資金を、官民両方の投資を組み合わせて調達するというイニシアティブです。これにより、持続可能な漁業への転換を果たし、海洋資源を保護しながら同時に持続可能な形でブルー・エコノミーを実現するという我が国の取組みに大きな弾みがつきます。」と、セーシェル共和国のヴィンセント・メリトン副大統領は、バリで開催された「アワオーシャン会合」の場でブルー・ボンドの発行を発表した際に述べた。
ブルー・ボンドにより調達された資金は、海洋保護区域の拡大、漁業権優先割当てにおけるガバナンスの改善、及びセーシェルのブルー・エコノミーの開発支援のために、2つのファンド(ブルー・グラント・ファンド及びブルー・インベストメント・ファンド)を通じたグラントと融資の形で提供される。両ファンドは、セーシェル保全・気候変動適応トラスト(SeyCCAT)、セーシェル開発銀行(DBS)がそれぞれ管理を行っている。
「世界銀行は、今回のソブリン・ブルー・ボンド発行に関わることができ大変嬉しく思います。このブルー・ボンドが、他の開発途上小島嶼国や沿岸国にとっても良い参考事例となると確信しています。今回のブルー・ボンド発行は、次世代に引き継ぐ海洋資源の持続可能な管理と開発の支援に対し、投資家の関心が高まっていることの明確な証と言えるでしょう。」と、世界銀行のローラ・タック持続可能な開発担当副総裁は述べる。
セーシェルは花崗岩とサンゴでできた115の島々から成る環礁国で、総面積は455 km2に上り、約140万km2に及ぶ広大な排他的経済水域を有している。世界有数の生物多様性ホットスポットであり、経済の発展と天然資源保護の両立が課題となっている。
海洋資源はセーシェルの経済成長の根幹を成す。漁業セクターは観光セクターに次ぐ国の最重要産業として年間GDPに大きく貢献しており、国民の17%が漁業に従事し、水産加工品は国の輸出総額の約95%を占める。
「セーシェルによるブルー・ボンド発行は、地球環境ファシリティ(GEF)が長い間取り組んでいる海洋保全に向けた支援の中でも大きな節目となるものです。GEFは、豊かな海洋生態系を守りつつ、経済成長、生活の質向上、及び雇用創出を進める途上国のブルー・エコノミー実現に向けて投資を行うことが出来、喜ばしく思います。」と地球環境ファシリティ(GEF)の石井菜穂子CEO兼議長は述べている。
セーシェルのブルー・ボンドは、世界銀行(国際復興開発銀行)による500万ドルの元本保証の他、GEFからの譲許的融資500万ドルが利払いの一部支払いに充てられる予定である。ブルー・ボンドが調達した資金はまた、世界銀行の「南西インド洋漁業ガバナンス及び成長の共有プログラム」にも役立てられる。同プログラムは、対象地域の国々の漁業資源の持続可能な管理、ならびに漁業セクターのもたらす経済的恩恵の拡大を支援している。
財務、法務、環境、金融部門の専門家から成る世界銀行のチームは、投資家と協力してブルー・ボンドの仕組みを組成し、さらにセーシェル政府が債券発行による調達資金を配分するためのプラットフォーム立ち上げを支援した。ソブリン・ブルー・ボンドの着想は当初、「プリンス・オブ・ウェールズ・チャリティーズ・インターナショナル・サステナビリティ・ユニット」によるセーシェルへの支援の中で得られたものである。スタンダードチャータード銀行が債券の募集代理人を務め、レイサム&ワトキンスが社外弁護士として世界銀行に法的助言を提供した。トランザクション弁護士はクリフォードチャンスが務めた。
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