2018年5月22日、ワシントンDC ― 世界銀行グループの「パンデミック緊急ファシリティ(PEF)」は本日、コンゴ民主共和国(DRC)におけるエボラ出血熱に対する支援として、設立以来初の資金拠出となる1,200万ドルのグラント拠出を表明した。同グラントは、本日開かれたPEF運営グループの緊急会合で承認され、PEFの現金枠から拠出される。この資金は、DRC政府が21日に発表し承認された期間3カ月、5,680万ドルのエボラ対策計画が掲げる同国政府及び国際社会による支援活動に充てられる。今回の流行による発症件数は本日時点で50件に上り、27人の死亡が確認されている。
2017年7月に始動したPEFは、世界銀行グループが日本、ドイツ、世界保健機関(WHO)及び民間セクターのパートナーと連携し設立した革新的な資金動員メカニズムで、現金枠及び保険枠から構成される。
「本日PEFが表明したグラント拠出に加え、我が国政府、世銀グループ及び他のパートナーによる力強い支援により、我々はこの困難な時に資金調達に力を削がれることなくエボラ対策と国民の健康面のニーズへの対応に集中することができる。」と、DRCのオリー・イルンガ・カレンガ保健大臣は述べた。「我々は極めて厳しい状況に直面しているが、効果的で透明性を備えた対応策を進めていく。」
「PEF初となる今回の歴史的な拠出表明は、深刻な感染症リスクに対して我々が、迅速かつ画期的な手法で対応できる事を明らかにした。」と、ドイツ連邦共和国のゲルト・ミュラー経済協力・開発相は述べた。「こうした対応は1年前には不可能であった。」PEFの現金枠はドイツによる6,100万ドルの資金支援により設立されたものである。
「我々は、PEFが感染症対応のための資金調達の新たなモデルとなることを確信していた。日本政府がPEFの保険枠に貢献する最初の国際的パートナーとしてPEF支援を決定したのはこのためである。」と、日本国財務省の浅川雅嗣財務官は述べた。「本日の拠出決定は、このメカニズムの重要性を改めて強調するものである。」
「今回のPEFによる拠出表明は時事を得た意義深いものであり、国際社会による感染症対策の著しい変化を表すものだ。」と、世界銀行グループのジム・ヨン・キム総裁は述べた。「これは我々が、甚大な被害をもたらした2014年のエボラ熱の大流行から苦い教訓を学び、恐怖と看過という悪循環の打破に向けて前進していることを示すものだ。PEFは、感染症対策に必要な即応性と柔軟性を提供する目的で設立された。我々は、世銀グループ自身の支援のみならず、資金不足が効果的な感染症対策実施の足かせとならないよう取り組んでいる。」
PEFの支援に加え世界銀行グループは本日、向こう3年間の予定で準備されていたDRCにおける感染症検知のためのサーベイランス投資1,500万ドルを全額、今回のエボラ対策支援に充てることを決定した。これにより、PEF及び世界銀行グループを併せた資金拠出の誓約額は2,700万ドルとなった。これは、5,680万ドルに上るDRC政府の期間3カ月のエボラ対策計画に必要な資金が、同国政府及び国際パートナーによりわずか2日間で確保されたことを意味するが、これほどの規模の資金が感染症対策に対してここまで迅速に動員されたのは初めてである。さらに世界銀行グループは、DRCに対する保健制度プロジェクト投資に設けられた危機対応コンポーネント(CERC)の活用を決定した。これにより同国政府は、感染症対策へのIDA融資8,000万ドルを、必要に応じて追加することができる。
本日発動された現金枠に加え、PEFは4億2,500万ドルの保険枠を有している。保険枠は日本とドイツからの拠出金で保険料を賄い、具体的には資本市場で取引される債券で構成されており、より大規模かつ複数国にまたがる対応が必要な場合に発動される。発動の際の基準はすべて、WHOが提供する公開データを基本としている。PEFは、世界の最も貧しい77カ国の感染症対策を支援するという目的を兼ね備えた初のメカニズムである。