世銀債、発行70周年
ワシントンDC, 2017年7月17日 – 今からちょうど70年前、世界銀行(国際復興開発銀行)は、初の世銀債を発行した。発行総額は2億5,000万(期間10年ならびに25年)、6倍もの応募があり、当時の資本市場では最大の資金調達となった。 この記念すべき第1回世銀債は、第二次世界大戦から復興を目的としたフランスへの融資(1947年5月9日承認)からわずか2ヶ月後の事だった。
世界銀行副総裁兼トレジャラーのアルンマ・オテは次のように述べています。「資本市場には、社会に変化もたらす重要な役割があります。世界銀行財務局は70年前に初の世銀債を発行して以来、1981年のIBMとの世界最初(公表ベース)の通貨スワップ実行及び1989年の初のグローバル債発行など、様々な「史上初」となる取引を開発してきました。また、他の国際開発金融機関と共にグリーンボンド市場も発展させ、2017年には、国連が掲げる持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の理解と社会への普及を促す世界銀行サステナブル・デベロップメント・ボンドを発行しました。2013年~2014年のエボラ出血熱感染拡大を教訓に、2017年6月28日には史上初の感染症債が発行されました。これは、開発途上国の支援のために資本市場を活用するという世界銀行の公約の実現を再び証明するものとなりました。我々の目標は、単に加盟国のために最も低いコストで資金を集める事だけではなく、世界が直面している最も解決が困難な様々な問題に対し、画期的な解決法を見出す事でもあるのです。資本市場は、画期的かつ効率的に活用された時、正しいことを実現するための大きな「力」となることを世銀債の歴史が証明しています。」
例えば、世界銀行が開発した最も画期的なものの一つに、通貨スワップ取引がある。様々な通貨で資金を借りることができる機会が市場参加者に開かれていることは、世界の資本市場の発展を支えている。史上初の通貨スワップとなったIBMとのディールから取引を積み重ね続け、世界銀行財務局が現在管理するグループ全体のデリバティブ取引の残高は今や5,670億米ドルに達している。今日では、世界銀行だけなく世界中でデリバティブ取引が実行され、その市場規模は454兆ドルを超えると推計されている。
世界銀行財務局は、1947年以降59の通貨建(旧通貨も含む)の世銀債を発行している。世界銀行(国際復興開発銀行)は現在、年間500億ドル~600億ドル相当の資金を中低所得国への融資原資として世界中の資本市場から調達している。平均すると一年間で20通貨建程度の世銀債を発行し、2017年度(2016年7月から2017年7月)にはカザフスタン・テンゲなどいくつかの新通貨での発行も行った。
「先進国の国債や政府機関債の利回りが極めて低く、場合によってはマイナスの状況下、世銀債への需要が必然的に増えていますが、同時に、多くの投資家の社会的責任投資への関心も高まっています。 持続可能な貧困削減と繁栄の共有をその使命に掲げる世界銀行は、トリプルAの世銀債を市場に提供することによって、『良いことを正しく行う』融資プロジェクトと投資家をつなぐ役割も担っています。」とアルンマ・オテ副総裁兼トレジャラーは述べています。
資本市場は、社会経済の発展を実現するための手段となることが可能であり、実際にもそうなっている。例えば、世界銀行が2008年に最初のグリーンボンド(プレーンバニラ)を発行して以来、市場規模並びに仕組債等のグリーンボンドの種類も増加している。今では、政府、公共団体、政府機関、民間企業や金融機関などの様々な発行体がグリーンボンドを発行している。グリーンボンドに限らず、投資を通じた社会や環境への問題解決への取り組みを一段と強調する動きが主流となっていると見られる。世界銀行は、これまで同様、画期的な金融手法を実現し、今後とも資本市場も活用しながら開発途上国支援を継続していきます。
世界銀行(国際復興開発銀行、通称 IBRD:International Bank for Reconstruction and Development、格付Aaa/AAA)は、世界銀行グループにある5つの機関の一つであり、1944 年に設立が合意された国際開発金融機関で、189か国が加盟しています。加盟国の公平で持続可能な経済成長を目指し、地域及び世界規模の経済や環境問題に効果的に対処していくために、IBRD は中所得国に対し、貸出・保証、リスク管理サービスに加え、開発に関わる様々な分野の専門的な分析・助言サービスを提供しています.
国際開発協会(通称IDA:International Development Association、格付Aaa/AAA)は、1960年に設立、173か国が加盟しています。 IDAはGNI(国民総所得)が年間1,215ドル以下(2016年度規準)の最も貧しい国々に対し、融資・保証、リスク管理サービス、政策助言を提供しています。IDAはまた、小島嶼国など、上記の上限を超えてはいるものの国際復興開発銀行(IBRD)からの融資を受けられるだけの信用度に欠ける一部の国も支援しています。
関連動画(英語):The Story of the First Bond