需給逼迫がエネルギーと金属の価格を押し上げ
2017年1月24日、ワシントン - 世界銀行は、需給逼迫を受けてエネルギーや金属といった工業用原材料の価格が2017年に大幅に上昇すると予測している。
世界銀行は、「一次産品市場の見通し」2017年1月版で、2017年の原油価格見通しを1バレル当たり55ドルに据え置いたが、それでもこれは2016年に比べ29%高い水準である。但し、この原油価格見通しは、これまで長期にわたり生産高を調整してこなかった石油輸出国機構(OPEC)加盟国及びその他の産油国が協調減産の合意を遵守するという前提に基づいている。
世界銀行は今回、金属価格見通しを、一段の供給逼迫ならびに中国や先進国での旺盛な需要を背景に、2016年10月時点に予測した4%から11%に引き上げている。
「大半の商品価格は昨年に底を打ったと見られ、2017年は順調な上昇が期待される。しかし、政策の転換が起きれば、このシナリオに変更が生じかねない。」と、同報告書の主席執筆者であるジョン・バフェス上級エコノミストは述べている。
2017年の農産物価格は、全体で1%未満の伸びに留まると見られる。食用油と油糧種子、原料農産物に小幅の上昇が見込まれる一方、穀物価格は供給見通しの改善を背景に3%近い下落が予測される。
貴金属価格は、ベンチマーク金利の上昇と安全資産としての購入が減退するに伴い、7%下落する見通しである。
投資の伸びは、2010年の7.1%から2015年は1.6%に落ち込んだ。本報告は、「特集」を組んで、一次産品を輸出する新興・途上国が投資の鈍化の直撃を受けた実態を取り上げている。
「官民を問わず投資の低迷は、一次産品を輸出する新興・途上国の様々な活動の妨げとなる。こうした国々の大半は、投資減速に対応しようにも政策の余地が限られているため、ビジネス環境を強化し、経済の多様化を促し、ガバナンスを改善する措置を講じて、中長期的な成長見通しを高める必要がある。」と、世界銀行のアイハン・コーゼ開発見通し局長は述べている。
世界銀行は、「一次産品市場の見通し」を四半期ごと(1月、4月、7月、10月)に発表している。同報告は、エネルギー、金属、農産物、貴金属、肥料などの主要一次産品についての詳細な市場分析を行っており、46品目を対象に2030年までの価格見通しと過去の価格データを掲載する。