プレスリリース

対アフリカ気候変動対策に160億ドル

2015年11月24日


アフリカの気候変動対応コスト、21世紀半ばには200-500億ドルに

【要訳】

ワシントン、2015年11月24日—世界銀行グループは本日、アフリカ諸国やその人々の気候変動への適応と、気候の影響に対するアフリカの強靭性向上を図るため、160億ドルに上る新たな対アフリカ支援計画を発表した。

「気候変動に強い低炭素型開発の加速」と題された同計画は、11月30日にパリの国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)の場において提示される。計画では、アフリカ大陸の資産である人材、土地、水、都市の強靭性を高めるための施策の他、再生可能エネルギーの普及や早期警報システムの強化策が示されている。

同計画は、現時点での推定とした上で、アフリカ地域が摂氏2度の地球温暖化に適応するには、年間50~100億ドルが必要になると指摘しているが、世界銀行と国連環境計画(UNEP)の試算によると、気候変動に対する強靭性強化のコストは今後も増え続け、21世紀半ばには200~500億ドル(摂氏4度の地球温暖化の場合は1,000億ドル近く)に上る。

同計画では、アフリカ地域が気候変動に適応する一方で温室効果ガスの排出を削減できるよう、具体的な施策への支援を目指す。そのために、アフリカが気候変動の悪影響に対する適応能力を強化できるよう、3つの行動分野から成る約12の具体的な項目を設定している。

1つ目の行動分野では、アフリカ大陸の資産の強靭性強化を目指す。ここで言う資産には、自然資本(景観、森林、農地、陸水域、大洋)、物的資本(都市、輸送インフラ、沿岸部の物的資産)、人的・社会的資本(気候変動の影響を一番受けやすい人々のための社会的保護の改善、ならびに人の移動を招く気候関連の原因への対応)が含まれる。

2つ目の行動分野では、低炭素型のエネルギー促進の機会など、強靭性強化が焦点となる。こうした取り組みは、気候変動の緩和に役立つだけでなく強靭性を大幅に高める。エネルギー・アクセスが不十分な社会は、気候変動の影響も受けやすいからだ。

3つ目の行動分野では、気候変動に強い開発のためにセクターを超えて基本的なデータや情報、意思決定のための手段を提供する事により強靭性を構築する。具体的には、地域や国レベルでの水文気象システムの強化、気候変動に強い投資の計画・設計能力の構築が挙げられる。

世界銀行は既に、気候変動に対するアフリカの強靭性強化に向けて協調した取組みを進めるため、様々なパートナーと現場で協力しており、今回の支援計画にも、そうしたパートナーによる貢献やインプットが反映されている。同計画は、アフリカ地域の気候に対する強靭性強化、低炭素型社会構築に向けた各種取組みについての認知度を高め、資金の動員を加速化させるのが狙いだ。

同計画は、対策を講じなければ、アフリカ地域がこれまでに達成した開発成果や、将来の成長と貧困削減への意思が、気候変動によって大きく損なわれかねないと警告する。今回の計画に先立ち世界銀行は、気候変動により2030年までにアフリカ地域で最大4,300万人が新たに貧困に陥りかねないとする分析を発表している。

 

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プレスリリース番号:
2016/169/AFR

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