世銀総会の場で年間290億ドルを上回る支援を示唆
ペルー、リマ、2015年10月9日 ― 世界銀行グループは本日、加盟国と協力し、気候変動対策資金を年間290億ドルに引き上げることが可能だと発表した。これにより、温暖化の影響への対応、低炭素型成長促進に動く国々を支援する国際的取組みの大きな後押しになるだろうと述べた。
現在、世界銀行グループが提供する支援のうち、気候変動関連が占める割合は全体の21%である。ジム・ヨン・キム総裁は本日、この割合を、2020年には3割強増にあたる28%に引き上げ、途上国の資金需要に応えることが可能だと述べた。世界銀行グループは現在、温暖化対策資金として年間平均103億ドルを直接支援している。今回表明された資金水準が維持できれば、2020年には支援を160億ドルに拡大することが可能となる。
さらに、世界銀行グループは、気候変動関連プロジェクトを対象に動員される協調融資も現行水準を堅持するとしている。現在の水準が維持できれば、2020年にはさらに毎年130億ドルの動員資金が見込まれる。このように、直接支援額と協調融資によって動員される資金を合わせると、計290億ドルになる試算だ。
今回の発表は、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)に先駆け、リマで開催中の世界銀行グループ・IMF年次総会に集まった各国閣僚が気候変動対策資金について非公式に話し合った結果行われた。今年11月末から12月にかけてパリで開催されるCOP21は、2020年までに年間1000億ドルを途上国に提供するという公約など、気候変動についての国際的合意を取り付けることを目指している。今回の世界銀行グループによる発表は、温暖化対策に新たな資金源を求めていた途上国の要請に応じたものだ。
「我々は、気候変動と闘う途上国のため、支援強化にこれまで以上に努力する所存だ」と、キム総裁は述べた。「COP21が近づく中、各国は気候変動対策に数兆ドルが必要とのニーズを確認した。世界銀行は、加盟国の支援を得て、この困難な課題に意欲的に対応していく。」
世界銀行グループの今回の誓約は、途上国の資金需要の動きと、現行の資金調達能力を維持できるかにかかっている。同グループ理事会は、出資比率と財務基盤の見直しに関する工程表に同意している。
こうした資金は、再生可能エネルギーや省エネ、気候変動対応型の交通対策、強靭性を備えた都市、劣化した森林・景観の回復、水の安全保障、農業慣行への支援拡充に貢献することになるだろう。
ペルーとフランスの呼びかけにより開かれた今回の会合でキム総裁は、気候変動対策のための資金調達は「全員で取り組むべき課題」とした上で、「… 我々は皆、極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進、そして気候変動との闘いに挑む各国のニーズが膨大であることを承知している。今後の資金需要の拡大に対応するには、ここにいる我々全員が一丸となって方策を見出さなければならない。」と述べた。
世界銀行グループのレイチェル・カイト副総裁兼気候変動特使は、「国際開発銀行は、国連に提出された各国の気候変動対策案が示す莫大な資金需要を前に、一致協力してそれに応える姿勢を示している。今や、我々の焦点は、資金をコミットするかどうかではなく、人々の生活向上に資するプロジェクトやプログラムを実行することへとシフトしている。」と加えた。
世界銀行グループによる気候変動対策に対する取り組み:
https://www.worldbank.org/en/topic/climatechange
https://www.worldbank.org/en/topic/climatefinance