- 地域全体の成長は2015年も低迷するも、2016年は上昇の見込み
- 商品相場高騰の際に成長が小幅だった国が現在、一次産品輸出国より好調
- 南アメリカを中心に、仕事、賃金、所得分配に成長減速の悪影響
リマ、2015年10月6日 – 世界銀行が半期に一度発表する経済報告「仕事、賃金、ラテンアメリカの成長減速」の最新版の中で、世界銀行チーフエコノミスト(ラテンアメリカ・カリブ海地域総局担当)は、今回の予測には不確定要素が多いとした上で、2015年はゼロ成長に、2016年はわずかに上昇して1%になるとしている。このとおりになれば、同地域が当初の予測を下回るのは連続して5年目となる。これは、中国の急激な成長鈍化と一次産品価格の下落をはじめとする外的状況悪化の影響が、新たな要因、特に内的要因によって長引いていることを示すものだ。
メキシコ、中米やカリブ海諸国は、米国との直接的な結びつきが強く、商品相場高騰の際や、2008~09年の世界金融危機後の成長率は他国と比較して低かったが、現在では他国より速いペースで回復しつつある。具体的には、パナマ、ドミニカ共和国、ニカラグアが地域平均をはるかに上回り、それぞれ5.9%、5%、4.5%という大幅な伸びを示すだろう。
中国の成長鈍化と一次産品価格低下により直接的な影響を受けている南米諸国では、成長の傾向は上記各国と異なる。ボリビア、コロンビア、パラグアイ、ペルー、ウルグアイの2015年平均成長率は3%、アルゼンチンはかろうじてプラス成長、ブラジル、エクアドル、ベネズエラはマイナス成長が予測されている。チリは、今年の成長率が2.2%とやや変則的なケースだが、2016年は商品相場高騰後の状況に必要な調整を既に済ませているため回復が見込まれる。
詳細、報告書の概要は、以下プレスリリース(英語)からご覧いただけます。
https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2015/10/06/world-bank-latin-america-s-slowdown-puts-pressure-on-jobs-and-household-incomes