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プレスリリース

持続可能な開発目標の達成に向け国際金融機関が4千億ドルの動員を発表

2015年7月10日


仮訳

ワシントン、2015年7月10日 —  国際開発金融機関(MDBs)と国際通貨基金(IMF)は本日、今後3年間で4千億ドル以上の資金を動員する予定であると発表した。また、持続可能な開発目標(SDGs)の達成というかつてない規模の課題達成に資金を動員すべく、官民両セクターとこれまで以上に緊密に協力していくことを表明した。

今回の発表は、7月13~16日にエチオピアのアディスアベバで開かれる第3回開発資金国際会議に先立ち、国際開発金融機関(MDBs:アフリカ開発銀行、アジア開発銀行、欧州復興開発銀行、欧州投資銀行、米州開発銀行、世界銀行グループ)とIMFが行ったものである。

SDGsは極めて意欲的な目標である。したがって、政府開発援助(ODA)など既存のあらゆる資金「数十億ドル」を駆使して、官民両セクターや内外の資金「数兆ドル」を呼び込み、活用・動員するためには 、大きな意欲をもって臨むことが求められる。

年間1,350億ドルと推定されるODAは、特に最貧国・最脆弱国にとっては不可欠な資金源となっているが、さらに多くの資金が必要である。新興国・途上国の投資ニーズは、インフラ分野だけでも年間1.5兆ドルに上る。困難ではあるが、達成可能なSDGsの目標を実現していくためには、すべての関係者があらゆる資金を1ドルに至るまで確実に有効活用し、官民両セクターからの投資を促し拡大していくことが求められる。MDBsは、開発資金確保の原動力として、支援規模拡大のために各種の選択肢を検討している。

MDBsの開発資金は、2001年の500億ドルから2015年には1,270億ドルまで増加した。MDBsは毎年、加盟国の資金1ドルにつき、新たに2~5ドルの支援を確保することができる。また、MDBs自身の民間セクター直接投資はこの期間に4倍に増えた。民間セクター事業への直接投資の場合、1ドルの投資につき2~5ドルの民間投資が動員されている。今回の、向こう3年間で4千億ドル以上の動員に貢献するという発表には、各機関による財務基盤強化へのより一層の取り組みも含められている。

さらに、資金確保のための施策として、途上国が自国の資金活用に当たり、より中心的な役割を果たすための新たなアプローチやツールの開発が挙げられる。一例として、MDBsとIMFは、税制の評価・改善のための新たなツールキットの導入や、歳出効率を高めるための電子調達などの手段拡充に、各国と協力して取り組んでいる。

SDGs達成には、途上国に対する外国投資の拡大は不可欠であるが、そうした資金フローが結果に結び付くためには、当該国政府が、マクロ経済の安定を維持しながら主要な公共セクター・サービスを確実に実施し、成長を支えるビジネス環境を促進する明確な開発戦略を備える必要がある。MDBsとIMFは、政策的助言や技術協力を通じて、各国がこうした目標を達成するための経済政策を策定できるよう、MDBsは開発政策融資を通じ、またIMFはプログラムを通じて、各国が予算面や国際収支面のニーズを満たせるよう財政を支援していく。

民間セクターは、財、サービス、インフラ向けの資金を確保する上で、益々重要な役割を担っており、MDBsは、民間セクターのパートナーと様々な形で関わる準備を行っている。具体的には、投資家と投資機会の結び付け、より魅力的な投資案件の創出支援、現地の金融市場構築などが挙げられる。

MDBsは、既に実施中の幅広い取り組みに加え、保健や環境といった地球規模のニーズに応えるための革新的な金融アプローチの構築に向けて、その他の関係機関とも協力を進めている。

各国際金融機関のコメント

ドナルド・カベルカ(アフリカ開発銀行総裁)

「2015年は、アフリカの開発の未来を決める重要な年です。アフリカ大陸は引き続き、アフリカにとっても、世界にとっても、深刻な開発ニーズと多くの機会を同時に提供しています。今回の開発資金国際会議に向けたMDBs間の協力関係はかつてないレベルで行われており、さらなる開発資金確保のための革新的なソリューションが提案されています。その一つが、ソブリン向けエクスポージャ・エクスチェンジで、アフリカ開発銀行は、世界銀行および米州開発銀行(IDB)と緊密に協力しながら、北アフリカの援助受入国に対する融資を拡大できるよう財務状況の強化を図っています。」

中尾武彦・アジア開発銀行(ADB)総裁
「現代における根本的な開発課題に対し、各国政府、民間部門、そして開発金融機関が共に取り組む上で、今は極めて重要なタイミングです。ADBとしても、貸付能力の拡大に向けた画期的な取り組みを既に始めています。ADBでは、譲許的融資と非譲許的融資のバランス・シートを統合させることにより、加盟国向け支援を5割増やすことも可能となります。民間部門向け支援では官民連携部を近年設置するなど、ADBは、開発支援のためのアジア・太平洋地域における巨額の民間資金動員に向けて、更に注力していきます。」

ヴェルナー・ホイヤー欧州投資銀行(EIB)総裁

「気候変動に確実に対応し、将来の世代が持続可能な開発の恩恵を享受できるようにするためには、技術と金融の両分野での経験を共有することが極めて重要です。欧州投資銀行は、長年にわたりMDBsと協力を重ねてきており、世界中の人々の暮らしを改善するため、気候変動対策の強化や、インフラ投資・民間セクター投資の拡大を図ってきました。欧州投資銀行も他の国際金融機関と同様、環境に配慮した成長の促進、クリーン・エネルギーへの転換の支援、革新性の促進を通じて、SDGs達成に寄与する投資への支援を今後数年間で強化していく決意です。」

スマ・チャクラバルティ欧州復興開発銀行(EBRD)総裁

「持続可能な開発のために取り組みの効果を高め、あらゆる資金源からの投資を拡大するためには、政策的助言と知識をうまく組み合わせると同時に、資金の確保も必要です。EBRDは、持続可能なエネルギーや気候変動への取り組みと共に、特にインフラに対する投資を支援するため、民間融資の活性化を進めていきます。このような世界共通の目標に貢献する民間投資を惹き付けるため、我々は規制枠組みを改善し組織・制度を強化する政策についても助言していきます。」

ルイス・アルベルト・モレノ米州開発銀行(IDB)総裁

「持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、国際開発金融機関はIMFと、さらには各国政府や民間セクターと互いに協力して追加資金を動員していくことが不可欠です。我々全員にとって目指す目標は同じですが、中でも特に喫緊の課題は、貧困と不平等の削減、賃金の高い雇用を生み出す経済成長促進と生産性向上、社会インフラや物的インフラの整備、持続可能なエネルギー政策の推進、食糧安全保障の確保、生物多様性の保護が挙げられます。IDBは先般、民間セクターに特化した組織を新設することとしましたが、この決定は、開発のために可能な限りあらゆる資金源を活用していくという我々の決意を表わすものです。」

クリスティーヌ・ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事

「今年は世界の開発のまたとない機会です。この機会を捉える唯一の方法は連携です。遠くを目指すには、我々は連携しなければなりません。加盟国が世界に広がり、経済の成長と安定性を推進するというマンデート(責務および権限)を掲げるIMFも、開発に真剣に取り組むパートナーです。この重要な年に、我々は、追加的な支援がもっとも効果的な分野の特定に努めました。また、譲許的融資ファシリティへのアクセスを50%拡大し、途上国が税収を確保できるようプログラムの拡大を予定しています。そして、インフラニーズへの取り組み、平等および包摂性の促進などの重要な開発問題に直面している国との政策的な関与を深めていきます。」

ジム・ヨン・キム世界銀行グループ総裁

「我々は、これまでの援助の概念を破り、違った視点から開発を捉えなければなりません。万人のために機会を生み出し、誰もが人生で成功するためのチャンスを平等に与えられ、気候変動や感染症の世界的流行に備える必要があるのです。こうした目標を達成するには、数十億ドルではなく数兆ドル規模の資金が必要です。すべてを途上国が負担するわけではなく、民間セクター投資、ドナー国/機関、国際金融機関など、数多くの資金源を動員する必要があります。世界が力を合わせることで、充実した教育、質の高い保健医療、清潔な飲料水、適切な衛生設備などを提供して、人々の生活の質を高める事が可能です。人々への投資は、15年という短い期間でも、極度の貧困撲滅に役立つはずです。」



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プレスリリース番号:
2016/019/DFI

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