エボラ大流行の影響緩和のため、約1万8,000人を対象に
精神保健・心理社会的支援を提供
モンロビア、2015年2月25日 – リベリア政府と世界銀行グループは本日、日本政府とのパートナーシップの下、リベリアでのエボラ危機による心理的影響に対応し、人々が健康な社会生活を送れるよう300万ドルの新規プロジェクト「リベリア心理社会的健康と強靭性の支援」を立ち上げた。同プロジェクトの調印式典が、世界銀行リベリア事務所にて行われた。
プロジェクトは3年間の計画で、世界銀行が運営する信託基金「日本社会開発基金(JSDF)」を通じて日本が資金を提供し、カーター・センターが実施する。対象は、首都モンロビアのあるモンセラード郡とマージビ郡に住む約1万8,000人である。
イングナ・ドブラジャ世界銀行リベリア事務所カントリー・マネージャーは、「心理社会的健康と強靭性を支援する本プロジェクトは、エボラ危機による心理社会・精神保健上のニーズの内、特に緊急性の高いケースに対応するもので、個人とコミュニティのレベルで心理社会面の強靭性の構築に貢献するだろう」と述べた。また、日本政府の支援に感謝の意を表すと共に、リベリア保健省およびカーター・センターとの良好な関係の下で本プロジェクトが順調に実施されるであろうと、明るい見通しを示した。
「リベリアでのエボラ出血熱大流行を受け、その心理社会的影響の緩和にご尽力いただく日本政府と世界銀行に感謝を申し上げたい」と、リベリア共和国保健省の最高保健責任者兼副大臣のバーニス・ダーン博士は述べた。カーター・センターによるトレーニングを受けた100人以上の医療専門家が現在、国内各地で医療に当たっている。
吉村馨駐リベリア日本国大使は、日本政府が引き続き、リベリアにおけるエボラ出血熱大流行に対応していく決意を改めて強調した。
「エボラ出血熱の大流行により、個人やコミュニティで心理社会・精神保健上の問題が増えたが、本プロジェクトは今回の大流行がもたらした心理社会的な影響を癒すきっかけとなるだろう。また、プロジェクトの革新的な支援により、住民やコミュニティの強靭性が強化され、ひいてはリベリアの復興と開発に貢献するだろう」と、カーター・センターのリベリア精神保健プログラム責任者であるジャニス・クーパー博士は述べた。
本プロジェクトの特筆すべき革新的な支援は、 小児精神保健専門家(CMHC)を学校に派遣するという新たな仕組みを作ったことである。また、既存の精神保健関係者のキャパシティ・ビルディングと研修も提供される。JSDFは、世界銀行グループの支援対象となる加盟国の最貧困層・最脆弱層に直接支援を提供するメカニズムとして、2000年に日本政府と世界銀行によって設立された。
このJSDFプロジェクトは、リベリアに対する世界銀行の保健分野への支援の一環として進められる。世界銀行はまた、保健制度強化プロジェクトおよびエボラ対応プロジェクトも実施中である。
世界銀行上級保健専門官であり、タスクチーム・リーダーとしてリベリアにおける保健分野の取組みを統轄するリアーナ・モハメド・ロバーツ博士は、「日本社会開発基金は、リベリアにおけるエボラ出血熱による心理社会的影響の緩和に役立つだろう。実施に当たっては、カウンセリング、コミュニティとの対話、マイナス・イメージの払拭などを組み合わせて行う」と述べた。
今回の式典には、リベリア保健省や国際協力機構(JICA)の関係者、開発パートナー、プロジェクト受益者などが参列した。
世界銀行グループのエボラ危機対策
世界銀行グループは、エボラ危機により最も深刻な影響を受けている国々に対し、約10億ドルの支援パッケージを決めている。その内、世界銀行グループの最貧困層向けの基金である国際開発協会(IDA)からの5億1,800万ドルが、治療とケア、感染拡大の封じ込めと予防、危機による経済的打撃へのコミュニティの対応、公衆衛生システム向上に充てられている。さらに、世界銀行グループの組織である国際金融公社(IFC)から、4億5,000万ドル以上が貿易、投資、雇用の促進に充てられる。