東京、2014年7月11日-国際協力機構(JICA)と世界銀行グループ[i]は、2014年7月10-11日の2日間、JICA本部(東京)にて第1回のハイレベルダイアログを開催した。同協議では、これまでの連携状況を確認すると共に、両機関の今後の協力分野について議論を行った。
「ディープ・ダイブ(Deep Dive)」と呼ばれる今回の協議には、JICAから田中明彦理事長、世界銀行グループからジム・ヨン・キム総裁が参加し、保健・ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)[ii]と防災・気候変動の2つの開発課題、アフリカ、南アジア、東アジアの3地域における協力について議論が行われた。日本は、世界銀行グループを含むパートナーと、アフリカ開発会議(TICAD)を5年に1度共催してきており、また、南アジア及び東アジア・太平洋地域では、これまでに両機関の部局間での連携協議を継続的に行ってきている。
「今回の協議は、日本政府と世界銀行グループの協力関係がこれまで以上に深まったことを示すものだ。」とキム総裁は述べた。「我々はこれからもJICAの経験から学ぶと同時に、知識の共有を図っていきたいと考えている。特に、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジと防災に関する共同研究は、世界に資するだろう。」と同総裁は続けた。
協議には、両機関トップの他に、世界銀行グループ側からは、多国間投資保証機関(MIGA)本田桂子長官兼CEO、世界銀行シリル・ミュラー対外関係総局副総裁、マクタール・ディオップ副総裁(アフリカ地域担当)、アクセル・ヴァン・トロッツェンバーグ副総裁(東アジア・太平洋地域担当)、国際金融公社(IFC)カリン・フィンケルストン副総裁(アジア・太平洋担当)、ティム・エバンス保健・栄養・人口問題担当シニア・ディレクター、エデ・イジャズ・バスケス都市・農村・社会開発担当シニア・ディレクター他が出席した。JICA側からも小寺清理事、木山繁理事、加藤宏理事をはじめとする多数の職員が出席した。
キム総裁は、田中理事長と共に、100名以上のJICA職員との対話集会を行い、貧困の撲滅と繁栄の共有に向けて、JICAと世界銀行グループ間の協力関係をさらに強化していく意向を強調した。
なお、今回の機会を捉え、両機関トップは、JICAと国際開発協会(IDA)による「IDA第17次増資のための借款」にかかる借款契約の調印も行なわれた。今回協議したテーマのうち、防災・気候変動は、IDA第17次増資における4つの重点課題の1つとなっており、また、アフリカ、南アジアは、IDA対象国の多くが属する地域でもある。
「日本からは、厳しい経済状況にもかかわらず、IDA第17次増資に寛大なるご支援を賜り、心より感謝申し上げる。日本のご支援により、極度の貧困撲滅と繁栄の共有の促進という世界銀行グループの2大目標に向けて、大きく歩みを進めていくことが可能になる。」とキム総裁は述べた。
両機関は、今後も定期的にこのような対話を行い、連携を強化していく考えである。
[i] 世界銀行グループは、国際復興開発銀行(IBRD)、国際開発協会(IDA)国際金融公社(IFC)、多国間投資保証機関(MIGA)、投資紛争解決国際センター(ICSID)の5機関からなる。
[ii] ユニバーサル・ヘルス・カバレッジが目指すものは、「すべての人が、必要な保健医療サービスを支払い可能な費用で受けられる状態」である。