世銀の最貧国向け基金であるIDAに$520億ドル
2013年12月17日モスクワ - 先進国と途上国で構成されるドナー各国は本日、厳しい経済環境にもかかわらず、世界銀行の最貧国向け基金である国際開発協会(IDA)に対し今後3年間を対象に過去最大の520億ドルの増資に合意し、極度の貧困の撲滅加速への決意を改たにした。
「これは国際社会にとっての成功です」と、世界銀行グループのジム・ヨン・キム総裁は述べた。「各国が、最貧国に対して最大限の支援をするために、経済的困難に直面しながらも並々ならぬ努力を払ってくださったことに深く感謝致します。我々は、貧しい人々のために新たな機会を創出し彼らの生活を一変するような支援を行うため、貴重な開発資金を1ドルたりとも無駄にせず活用していく所存です」
またドナー各国は、紛争の影響下にある脆弱国が、直面する課題を克服し安定化に向けて舵を切るためには、追加資金が必要であるとの考えで一致した。今回のIDA増資は、将来を形作るための鍵として、最も困難な分野を重視し、民間セクター参加の促進や、気候変動とジェンダーの平等に的を絞った投資をより一層強化する。これまで以上に公平な成長に向け強い決意で臨むことが、こうした取組みを下支えすることになる。
最貧国では10億人近くが1日1.25ドル未満で暮らしており、そのためIDAは、世界銀行が掲げる極度の貧困の撲滅と世界の最貧国における繁栄の共有促進という目標達成に向け、重要な役割を果たす。今回の増資によりIDAは、最貧国が喫緊の開発課題に取り組むのを支援するため、各国の事情に即した革新的なソリューションを提供できるようになる。
IDA第17次増資(IDA17)の全体テーマである「開発効果の最大化」に合わせ今回の増資は、およそ1500万~2000万人を対象とした電気へのアクセス、2億人の子供の命を守るワクチン、100万人以上の女性に対するマイクロファイナンス融資、6500万人のための基礎的保健医療サービスの提供に充てられる。また、約3200万人が清潔な水へのアクセスを確保し、さらに5600万人がより整備された衛生施設の恩恵を享受できるようになる。
IDA17の対象期間は2014年7月1日~2017年6月30日で、その間には、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限とポスト2015年開発目標の始動という、極度の貧困の撲滅のためのグローバルな努力における極めて重要な分岐点がある。
「我々には、これまでにない機会が開かれています。グローバル経済の変化を捉えて、最貧国を持続可能で弱者に配慮した成長への軌道に乗せ、数百万人を貧困から救い出し、さらに各国が自らの開発を賄えるようにすることが求められています」と、IDA17の議長を務めたスリ・ムルヤニ・インドラワティ世界銀行グループ専務理事は述べた。「最貧国の将来に対する投資は、すべての国における将来の繁栄と安全保障への投資です」
今回の増資では、計46か国が拠出を表明した他、世界銀行グループも従来どおり、自己資本からIDAに拠出する。国際復興開発銀行(IBRD)と国際金融公社(IFC)は今後3年間で、30億ドル近くをIDAに提供する。
グラントでの拠出が引き続きIDAの資金調達の中心を成す一方で、IDA17では、各国が資金提供額を増やすための手法として譲許的ローンを用いている。これは、IDA資金への需要が高まる一方で、現在の財政環境が極めて厳しいことを踏まえた上での措置である。
「IDAは、貧困国と地球公共財のために明るい未来を切り開くという決意を先進国と途上国が共有する、他に類を見ないパートナーシップです」と、世界銀行譲許性資金・グローバル・パートナーシップ総局のヨアヒム・フォン・アムスバーグ副総裁は述べた。 「厳しい経済状況が続く中、今回の増資交渉の結果は、IDAを支える国際的な連帯精神の証です」
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国際開発協会(IDA)は、最貧国支援を目的とする世銀グループの機関。IDAは世界最大規模の援助機関の一つとして、保健、教育、インフラ、農業、経済・制度構築の分野への投資に、無利子または低金利の融資および贈与を、開発が最も遅れている国々(うち40%はアフリカ)に提供している。こうした国々には25億人が暮らしており、うち10億人は1日1.25ドル未満の極度の貧困状態にある。設立以来IDAは、108か国における取組みを支援してきた。年間コミットメント額は着実に増加してきており過去3年間は平均約160億ドルで推移している。このうち約半分はアフリカに対する支援であった。2013年6月30日に終わった2013会計年度では160件以上の新規プロジェクトを支援した。